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θ150

「シシちゃん、シシちゃん!」

「う……ん……コラン?」


 目を開けると泣きそうなコランの顔が見えた。私か目を覚ましたと知ると、コランは私に思いっきり抱き着いてきた。全く、痛いっての。そう思いつつも、私はコランの頭を撫で撫でする。そうしながら私はあたりを確認する。


「これは……また……」


 何やら大変な所に来たみたいな感じ凄いする。私達の周囲にはいろいろな武器が地面に突き刺さってる。しかも視界一面。荒れ果てた大地に視界一面の武器なんて……動き出さないよね? なんかもう武器ってだけで怖いんだけど……あれ? その感覚って実は普通では? だって武器だよ? 怖いのが普通な気がする。誰かを自分を、自分の大切な人を傷つけるかもしれない物なんだから。


「ここ、どこなのかな?」

「さあ、でもあんまり歓迎されてないみたい」


 私は視線の先を見据える。遠くに黒い雲と竜巻の様な物がみえる。そしてそれは確実にこっちに向かってきてる。あんなの絶対にヤバい奴じゃん。


「とりあえずあれから逃げるわよ」

「うん!」


 再び逃げ出す私達。なんかここずっと逃げてばっかりな気がする。けど立ち向かうなんて……そんな事は無謀ってものだ。私は自身になんの力もないってわかってる。私はそういう役目を負う立場じゃないし。そういうのは兵士とかが冒険者に求めてほしいよね。なんでただのアイドルである私に求めるのか。間違ってるから。


「はぁはぁ――」


 どのくらい走っただろう? 実際はそんな走ってないと思う。だって竜巻はとても速いからだ。既に後ろに迫ってる。不思議な事に土とかは舞い上がっても、地面に刺さってる幾多もの武器は飛ばされてない。それだけ深く刺さってるのか、それとも実はそんなに威力はない? 


(いや、それはないな)


 だって近づくにつれて風圧が凄いもん。てか既に地面になんとか踏ん張ってる状態だ。二人で抱き合って腰を下ろし、どうにかこうにか踏ん張ってる。けど……ジリジリと私達の体は竜巻の方へと引っ張られてる。


「シシちゃん……」

「絶対に離しちゃ駄目だから! 絶対!」


 私は掴む手に力を籠める。こうなったらショートポイントで抜け出すしかない。私は一番遠くのマス目を指定して移動する。視界が一瞬暗くなってそして再び光が戻る。けど……


「なんで?」


 私達の場所は一切変わってなかった。失敗? そんな事ってあるの? ちょっとどういうことですかラーゼ様!? ここでそれはないですよ! そんな事を思って絶望に暮れてると、いきなり竜巻がうねりだす。そもそもまっすぐに伸びてる訳じゃなかったけどさ、今はもうぐにゃんぐにゃんしてる。そしてついに二つに分かれた。そして竜巻の中には一体の騎士が居た。黒い甲冑に身を包み、鎧の隙間からは何やら毛なのか赤い体毛みたいなのがゾワゾワと伸びてる不気味な騎士。


 そしてその騎士が携える二本の剣にはさっきまで空に昇ってた竜巻が宿ってる。


「た……た……かえ……」


 低く、そして地の底に響くような声がした。どうなってるのか、鎧自体が割れて赤黒い肉と歯が見えてる。


「至宝……と……よばれた我が力……認めし者に……さずけよう」

「い、いりません!!」


 思わずそういった私は悪くない。だって求めてないもん。


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