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θ141

「そんな……入られた?」

「くそ、どうやって!?」


 外からはそんな感じの声が聞こえてくる。いまにも扉を開けて押し入ってくるかもしれない。なんとか苦労してこの建物内に入ったわけだけど、ここは彼らの施設な訳で、彼等なら入るのも訳ないだろう。だから今にでも踏み込んでくるかもしれない。折角フィリー姉さまやミラがその身を犠牲に私達をここに入れてくれたのに……せめてわたしもコランだけは……そうおもってコランをギュッと抱きしめる。けど……


「許可を取ってこい! 急げ!」


 なにやらそんな声も聞こえてきた。どうやらここは特別な場所で、彼等も易々とは入れないみたい。とりあえず一安心か? と思ったら、今度はこっちに語り掛けてきた。


「聞こえているだろう。君たちの仲間がどうなってもいいのか? よくないのなら出てこい!!」

「さ、さっき危害は加えないって言った!!」


 何故か私は反論してた。揚げ足取りなのはわかってるけど、このままではミラやフィリー姉さまが……とおもったらなんか口をついて出てた。


「それは君たちが抵抗しない限りだ。君たちはあれに対する切り札。それまでは後生大事にしてやろう」


 あれ……それはもしかしなくてもラーゼ様? やっぱりこいつらの目的はラーゼ様なんだ。私達はあの人の為なら死ねる。あの人の不利益になるのなら……けどまだその決断ははやいよね。すると野太い声を切り裂くように二つの高い声が聞こえた。


「聞くなシシ!」

「行きなさい。大丈夫だから」


 ミラは激しく、フィリー姉さまは静かな声なのによく聞こえた。二人はもう、覚悟を決めてる。それに私達が逃げても、ミラ達がいればラーゼ様に対する切り札にはなりえる。それならまだ殺されることはない。けどやっぱりまだ……だ。


「シシちゃん……」


 抱きしめてるコランが私の服をギュッとしてくる。きっとミラとフィリー姉さまを心配してるんだろう。けど今の私達に出来る事はない。出て行って私達まで捕まったら……振り出しに戻ってしまう。それはミラやフィリー姉さまの決意を無駄にしてしまうことだ。本当はどうにかして四人で行く術はないかと考えてしまう。けど、いくら考えたってそんな方法はない。私達は弱いから……


「行こうコラン」


 部屋には小さな螺旋階段が上へと続いてた。私は外から聞こえる声を無視してコランの手を引いて階段をあがる。ここが特別な場所なのは確定してる。なら、何かがあるはずだ。上についた私達が見たのは、台座に刺さった剣だった。物語とかで出てきそうに剣が鎮座してる。


「武器?」


 なんかがっかりだ。ここから脱出できる術かと思ったんだけど……どうやらそうではないみたい。柄に近い部分が湾曲してる特徴的な剣だった。刀身には模様が刻まれて、束も拘りがみえる。美しいと思える武器。けどいくら素晴らしい武器でも、私に使えるなんて思えない。それとも振るだけで、敵を殺してくれるのかな? それなら、ミラやフィリー姉さまを助けれるけど……私は剣に近づく。そして恐る恐る剣に触れた。その瞬間――その――――


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