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θ139

 ガシュン・ガシュン――と不思議な音がしてる。それは彼らの武器が絶対防御に防がれてる音だ。数で押し切ろうとしてる彼らの猛攻を絶対防御は防ぎきってる。凄い! 絶対防御がなかったら既に終わってたよ。けど……実際扉の方はどうにもできない。出来る兆しもない。けどどうにかしないといけない。奴らはフィリー姉さまに任せて、私達は三人で知恵を絞る。


「何か……なにかないか?」

「そういっても……私たちそもそもそんな知識ないし……」

「少しは教育受けたんですけどね。けど流石にそこまで専門的な事は教わってないし……」


 コランの言う通り、私達はラーゼ様に拾われて多少の教育を受けた。今までの生活と違って教養って奴が一定値は必要だったからだ。けどそれは文字通り最低限の常識を身に着けるための物で、文字の読み書きとか、社交での振る舞いとかだった。だから魔法の深い所なんかしらない。そもそも人種が魔法の深い部分に辿り着いてるのかしらないけどね。もしかしたらここは人種がいくら頑張ってもどうにもできない物かもしれない。こうなったら正攻法で扉の向こうに行くのは諦めたほうがいいかもしれない。


 今の私達は魔法が使える。それなら……


「何か、窓とかないかな?」

「なるほど、中を見れればそこにショートポイントできるというわけだな」


 私はコクっと頷く。この建物は五角形みたいな形をした建物だ。その周りに通路がぐるっと回ってる。前の方には窓とか見えない。けど横や後ろにはあるかもしれない。中さえ見えれば、ラーゼ様に授かったこの力でどうにか出来るかもしれない。だって中さえ見えればショートポイントは使える筈だ。幸い、敵は一本道の向こう側。ぐるっと回る程度、危険はないはずだ。私達はさっそく、左右に分かれて走り出す。右側からミラに行ってもらって、左側は私とコランで回る。


「シシちゃん! あれ!」


 そんなコランの指さす先には小さな丸い窓があった。窓なのかわからないくらい小さい……あれから侵入とかは絶対にできそうにない。そういう対策? けど私には関係ない。けど問題があった。


「高い……」


 そう高い。二メートル強はありそうな高さにその窓はある。よじ登れるだろうか? とりあえず迷うよりは挑戦だと思ってやってみた。けど、一ミリも登れなかった。とっかかりはいっぱいだけど、寧ろコランの方が登れてた。コランは木登りとか得意らしい。だからだと思う。私も筋力はそれなりにあると思うけど、コランほどには登れなかった。けど結局コランも窓の所まではいけない。そもそもコランが行っても意味はない。


「どうだった?」


 そうこうしてると、反対側から回ってきたミラが来た。どうやら同じ程度の位置に同じような窓があったらしい。要は二か所窓がついてるって事だろう。


「よし!」


 そう言ってミラが腰を折る。そして「シシ、乗るんだ」って言ってきた。ちょっ、私スカートなんですけど? とは流石に言ってる場合じゃないよね。それにこの角度なら、彼等にはみえないだろうし私は素早くミラの肩にまたがる。


「行くぞ!」


 そんな掛け声と共に踏ん張るミラ。ちょっと女の子が出しちゃいけない声を出してたけど……私ってそんなに重い? そんな事ないよね? ね? すごく不安になったけど、それよりも窓だ。気持ちを切り替えて私は手を伸ばす……けど――


「ダメ……届かない」


 シシに肩車してもらっても、窓は更に高い場所にあった。これじゃあ、ぜんぜん届きそうにない。


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