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θ136

「貴様等は!?」


 奥に居た奴が走ってきた私達を見てそういった。流石にこれだけ大胆に現れたら気配消しなんて意味ないね。


「げっ」


 私は奴らの声なんて無視して、そう口ずさんでしまった。だって二人いるんだもん。こっちにもいくつかの扉があった。けどどうやらあいつらが守ってるドア……それはここまでくる過程で見たドアと違って何やら重厚そうだ。しかもこれまでまず見なかった見張り……そう、こいつらは見張りなのだ。つまりは、その扉の向こうは重要な場所という事。


「逃げた捕虜というのは貴様らだな!!」


 そう言って後方の奴が笛らしきものを取り出すのが見えた。あれを吹かれたら、ここに捜索隊の全員が集まってきてしまう。


「させるか!! ファイヤアアア!」


 大仰な事を言って伸ばした腕から出た炎。確かにそれは炎だ。けど……辺りを照らす様に漂うだけで、それは攻撃ではなかった。お陰で暗かった通路は明るくなったけど……笛を吹くのを止める事はなかった。危惧してたけど、やっぱり直接攻撃系の魔法ではないようだ。


「ははは! なんだそれは!!」


 そんな事を近い方の奴が言う。そして「やれ!」と続けた。それに頷く笛を持ってる奴。けど、そこで気づいたようだ。ミラはにやりとする。


「か……体が……」

「動かない?」

「ふふ、炎はただの陽動だ」


 とてもどや顔のミラがなんかイラっとする。いや、とても助かったけどね。どうやら炎でここを照らして、こいつらの影を浮き出し、それをもう一つの魔法である影縫いで縫い留めたみたいだ。ミラにしては頭使ったね。


「急ごう!」


 後ろから何やらガヤガヤとした声が聞こえる。階段を下りてきてた奴らだろう。ぞれに気づいた見張りの奴らが声を挙げる。


「こっちだ!!」

「こっちにいるぞ!!」


 口までは縫えないのが痛い。私達は急いで見張りの脇を通り抜ける。そして扉に手を掛けた。幸いにもカギはかかってないみたい。


「フィリー姉さま早く」


 既に視界の先には追手が見えた。そんな中でもフィリー姉さまは何やら見張りの一人の傍に居たから、私は声を掛けて促す。よヴやくフィリー姉さまも扉のこっち側に。扉を閉めて、私とミラは近くにあった箱とかを置いて扉があかない様に……とかおもったけど、無理そうだったから、とにかく階段を更に下る。どうやらまだ下に行くようだ。見張りまで居たのなら、こっちが当たりであります様に……私達全員、きっとそう思ってこの階段を駆け下りる。


そして階段の終わりには再び扉があった。後ろからは沢山の足音。もう壊す勢いでドアを開ける。するといきなり光が目に飛び込んできて、私達の視界は真っ白に染まった。


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