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#39

「本当に宜しいので? アンサンブルバルン様」

「構わないさ。彼女はかなり特別だ。そもそも何が効くのかを知りたいんだよ」

「契約魔法に抗う術はそうそう無いと思いますが。しかも奴隷契約は強力です。刻まれた模様は例え奴隷契約が終わったとしても消える事は無いほどの……」

「だから良いんじゃないか。それにこの美しい肌に傷を残すのも一興ではないかな」

「相変わらずですね」


 薄闇に落ちた意識の中でそんな声が聞こえてくる。なに? 奴隷とか物騒なんだけど……何かされてる? けど、身体を動かすことは出来ない。まだ暗いから意識が半覚醒状態ってことかも。でもこのままじゃ、私の肌が傷物に! そんなの許せない。だって世界の宝なのに!! どうにかして意識を戻さないと。

 

「おかしいですね。契約が出来ません。奴隷契約は他の全てを無効にしてでも下せる物の筈ですが。弾かれます」

「ほほう……やはり面白い」


 何かがお腹をなぞる様な感触が伝わる。やばいゾクゾクする。絶対私のお腹をなぞってる。どっちだ? どっちにお金請求すればいい? 

 

「これは癖になる感触をしてるぞ。どうだい君も?」

「ははは、そんな得体の知れない存在に気安く触れれるのは英雄クラスと言われるアンサンブルバルン様だからですよ。私達などは幾ら美しくても棘がありそうで無理ですよ」

「もったいない、極上の感触なのに」


 確定しました。私の身体をベタベタしてるのはあの蛇、アンサンブルバルンとかいうやつだ。あんの野郎、私に触れるのはタダじゃないんだぞ! 

 

「他にこの娘を縛る方法はないのかね?」

「そうですね、奴隷契約が無理ならば、本人に同意の上で隷属契約か主従契約とかでしょうか?」

「それで縛れると思うかね?」

「無理でしょうね。この娘はなにやら強大な何かに守られてる様な感じです」

「強大な何か……か。見当はつかないのかな?」

「情報が少なすぎますね。ただ奴隷契約を拒絶して、更には計り知れない強大なマナをその身に宿してる事は位の低い人種ではありえないかと」

「人種では無いと? 確かにこんな完成された人種は見たことないが?」

「それも確信は出来ません。ただの人種でもその契約の主が神話クラスともなると、その力は計り知れぬかもしれません」

「神話クラスを飼う人か……奴等の国にやる訳にはいかないな。ここで殺すか……どうにかして手懐けたい物だがね。奴隷契約が出来れば簡単だったのだが……」


 なんかとても勝手な事を抜かしてくれてる。けど流石はゼルラグドーラ、奴隷契約とかいう物騒なものは弾いてくれたようだ。けどこいつらヤバイな……明らかに私に執着してるよ。確かに超絶美少女の私に興味が湧くのは仕方ない。てか、これまでの奴等がおかしい。私超絶美少女なんだよ。普通はこのくらい興味持つのが普通でしょ。

 周囲が明らいできた。多分もうすぐ目覚める。こいつらがこれ以上私の身体を弄ぶ前に目覚めたい。

 

「どうしますか? ここではこれ以上出来ることは無いですが?」

「とりあえず首輪をしておこう」

「この娘にそれは効かないのでは?」

「そうだね。だから一緒に連れてきたあの娘にだよ。どうやら随分と執着してるようだし、人質として利用しようじゃないか」


 どうやらアンサンブルバルンとかいうやつはクズのようだ。一緒に連れてきて私が執着してる……それってうさぎっ子では? 首輪って一体何? 嫌な予感しかしない。そんな中、私の意識は覚醒する。そして私はまだ見えない中で、無理矢理奴の手を取った。


「おやおや、無理をしてはいけませんよ。貴女の身体はとりあえずまだ大切ですからね」

「うさぎっ子に何かしたら……お前ら全員消滅させてやるわ!!」

「だ、そうですよ。貴女はどうします?」


 そんな声とともに扉が開く。入ってきたのはうさぎっ子。やっばり一緒に連れてこられてた。てかここどこ? なんかゴワンゴワンとか言う音がしてて、私は丸い窓のある部屋に寝かされてたようだ。案外飾り気がある。木製の調度品が気品を物語る、そんな感じの部屋だ。

 でもあんまり物色してる場合じゃない。だってうさぎっ子はなにかを持ってる。それは鉄製の輪っかみたいなの。あれが首輪ではなかろうか?

 

「うさぎっ子……」

「貴女がそれを嵌めてくれれば、我々はとても助かります。この国もそしてアドパンの街も安泰でしょう」

「このクソ蛇野郎!」

「折角可愛らしいのに性格が問題ですね。貴女が再教育を施してもらえませんか? この国の為にも」


 この蛇、ほんと性格が受け付けない。いかにもなことを言ってるけど、アドパンの街とか人質に取ってるし。私にとっての人質がうさぎっ子で、うさぎっ子にとっての人質がアドパンの街。仲間の振りして追い詰めてる。

 

「どうして……なんで……」


 うさぎっ子はなんだか混乱してる。そこに蛇の奴が甘言をいう。

 

「貴女の復讐はそれをつけるだけで成し遂げられます。大丈夫、アドパンの復興も約束しましょう。貴女は何のためにここまでしたのですか?」

「私は……」

「駄目! うさぎっ子!」


 そんな声を私が発してた瞬間。うさぎっ子は叫ぶ。

 

「私はうさぎっ子なんかじゃない!!」


 そう言ってその首輪を二つに割ってうさぎっ子は自身の首に嵌めた。するとその首輪に青い線が走ってカチャっていう。そしてそれを見た蛇がその顔を邪悪に染めたのを私は見た。すると蛇が私の掴んでた手を逆に掴み返してきて私の手を振りほどく。力が強い……私の華奢な手が潰れそう。この蛇野郎……

 

「さあ、互いを知る努力をしましょうか」


 体のいい笑顔を作る蛇。私はこの蛇に舌舐めずりされてる。完全にこいつは敵。その認識を私は確認した。

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