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θ125

 互いが互いが言いたい事を言って五分……私たちはぜーはーぜーはーしてた。こいつら……この中での序列は私が頂点だって事、理解してないみたいだね。


「メル」

「はい、母よ」


 そう言ってメルは手にしてるサイオスの父らしい奴を強く握って黙らせる。更に、視線だけで魔法を使い、サイオスの奴のうるさい声を消した。金魚みたいにパクパクしてるサイオスの奴は面白い。けどこれでようやく話が出来るね。


「あんた達に言っとく。私が喋ってる時は静かにしなさい。わかった?」


 不遜な態度でそういう。メルの手の中で絞められてる奴は何か言いたそうな目をしてるけど、何も発することは出来ないよ。サイオスはまあ……声聞こえなくなってるから。けど、私の不穏な雰囲気を感じ取ったのか、首を縦に振ってる。


「よろしい。じゃあ、まず、あんたとあんたは親子なの?」


 私は二人を交互に指さして一番気になってた事を聞く。すると二人とも顔を逸らす。いやいや、態度が物語ってるから。てか二人とも認めたみたいな事言ってたしね。でもこれは確認としてちゃんと聞かないといけない事だ。だって親子って……


「メル、サイオスの魔法を解いて」

「はい」


 私の指示でサイオスは声を取り戻した。ここで沈黙は赦さないよ。私はじっとサイオスを見つめる。するとサイオスは顔を真っ赤にして顔を逸らした。


「う……刺激が……」


 刺激? ボソッとした声だったけど、私にはちゃんと聞こえたよ。刺激? ああ、私は今、結構きわどい姿だからね。服はボロボロだし、肌の露出も際どい所とかが見えてる。体は治せるけど、やっぱり服は治せないんだよね。今の私の格好はどうやらサイオスには刺激的すぎるみたい。


「そんな事どうでもいいから答えなさい」

「う……それよりもラーゼはゼーラでゼーラはラーゼなのか?」

「私の質問に答えなさいよ」


 私は声を低くしてサイオスに更に近づいた。すると慌てて、後ずさろうとして尻もちついた。まあ私か最高に魅力的なのはわかりきってる事だけど、これじゃあ話も出来ないわね。もっと女性に対して耐性あるのかと思ってたけどサイオスの奴はそうでもないみたい。けど着るものもないし、しょうがない。


「メル」

「はい」


 それだけで再びメルは魔法を放つ。するとサイオスの目が閉じた。そしてそれを開ける事ができなくなったようだ。流石メル。


「目が! 目が開かねええええ!!」

「それで私の美しさに狼狽することないでしょ。さっさと答えなさい」

「そう……だな」


 サイオスは明らかにテンション下がった感じだけど、どうでもいいよね。落ち着いたのか、ようやくサイオスは答えたよ。


「アレは……確かに俺の父だ。だが! もう関係ないから! 俺たちの間にはなんの問題もない!!」


 ごめん、こいつが何を言い出したのかわからない。私たちの間には何もないっての。こいつ、一発殴ってやろうか? けどそんなサイオスを哀れな目で見てるのは私だけじゃなかったようだ。


今年最後ですね。ありがとうございました。来年もよろしくです。

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