表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

361/2450

θ98

「はーふー」


 昼間とは打って変わって緊張の面持ちのクーシェちゃん。いまから彼女達アークアは初ステージに挑む。まあ先に私達が出て、場を温める訳だけどね。けど私だっていまだにステージに立つのは緊張するわけで、初ステージなんてそれこそ倒れそうだった。それを考えれば、意地悪なクーシェちゃんでも緊張しちゃうのも無理はないと思う。


「だ、大丈夫?」


 だからかな少し前の自分と重ねてそう声を掛けてしまった。クーシェちゃんの性格的に、そんなんじゃ素直になんてなれないってわかってたのに。


「大丈夫ですって? 私を誰だと思ってますの? 貴族ですのよ。庶民と一緒にししししないでくださいまし!」


 案の定そう言われた。けどそんなのは強がりだってバレバレだ。だって噛んだし……脚なんてがくがく震えてるのは一目瞭然。どうしたらいいだろう? 私の言葉なんて、クーシェちゃんは聞かないよね。そう思ってるとラーゼ様が「いくよ」と声を掛けてくれた。そして次の為に控えてるアークアの皆さんに向かってこういうよ。


「安心してて、最高に盛り上げて置いてあげるから!」


 そのほほえみとウインクがあまりも美しすぎて私もアークアの皆さんも見惚れてた。そして私もわかったよ。私達は先輩として口じゃなくその行動で示せばいいんだって。だから私はこっちをみるクーシェちゃんに向かってラーゼ様に習ってこういうよ。


「行ってくるね」


 そんな私を見て目を丸くするクーシェちゃん。私はそのまま皆と共にステージへと上がった。昼間とは違って水が幻想的に煌めく様になってて、ステージ上から見る夜のアクワイヤはとても綺麗だった。これが普通なのか、それともステージ演出の為の仕掛けなのかはよくわからないけど、こんな光景が見れたからどっちでもいいかな。そう思ってると、音楽が流れだす。私達は練習通りに配置についてリズムに乗って踊りだす。


 興奮がこの街全体を包んでく……そして数曲やったところで一度私たちは舞台袖に戻る。するとぼーっとしたアークアの皆さんがいた。何か惚けてる感じだ。緊張は……なくなったのかな? 


「はっ! なっなかなかですわね!」


 正気に戻ったクーシェちゃんは私を見るにそう言ってきた。けどなんか顔が赤い。そう思ってると、ビシッと指をさされて言われたよ。


「貴方、少し踊りが遅れてなくて? 貴女がプリムローズの足を引っ張ってるんじゃなくて?」

「うう……それは」


 自覚があるだけに言い返せない。すると、ラーゼ様が私に抱き着いてきた。


「いいの! コランはコランにしかない物を魅せてるからね。足なんて引っ張ってないの」

「ラーゼ! 様……」


 流石にラーゼ様には言い返せないのか、クーシェちゃんも黙った。するとラーゼ様はにやにやしながらいうよ。


「それよりも本当は感心したんじゃないの? コランがステージで立派にやってたから」

「な!? そんな事!!」


 なぜか顔を赤くするクーシェちゃん。どうしたんだろうか?


「まあ今はわからなくてもすぐにわかるわよ。コランがちゃとやってるって。次は貴方達なんだからね」

「――っつ」


 そのラーゼ様の一言でクーシェちゃん。ううん、アークアの三人は息を詰まらせた。けど、もう出番なんだ。時間は待ってはくれない。彼女達がアイドルになるその時だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ