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「あそこは願いの噴水ですわ。見てください、銅貨が見えるでしょう? あの像が持ってるツボに銅貨を入れる事ができれは願いが叶うといわれてますの」
「「「へえー」」」
私達プリムローズは皆で声をそろえてそう言った。結局、私たちはアークアさん達にアクワイヤの案内をしてもらってる。どうやら彼女達のいってる事は本当みたいで、あんまり険悪になるのもなって事になったのだ。
「やってみますか?」
長女さんがそう言って私たちの掌に銅貨を渡してくる。そしてそれはなぜかマネージャーさん達にも……
「いえ、自分たちは……」
「ふふ、ご遠慮なさらず。私達は皆さんに楽しんでほしいんです」
そんな長女さんの優しい言葉とその柔らかい物腰にマネージャーさん達はちょっと鼻の下が伸びてる。長女さんは優しい感じのたれ目が特徴的な女性です。そして何よりも胸がおっきい。マネージャーさん達の視線も自然とそこに向かってる。そしてそんなマネージャーさん達にシシちゃん達がそれぞれショック療法を……ね。とりあえず私たちは銅貨を受け取る。皆で投げてみようという事になったのだ。
「まずは私が手本を見せて差し上げますわ」
そう言ってクーシェと呼ばれた私に絡んできた子が山なりに銅貨を投げた。すると綺麗な放物線を描いた銅貨は小気味いい音を出してツボの中に吸い込まれた。
「うふー」
ドヤ顔である。しかも私を見て、これでもかってくらいのドヤ顔。
「成功しても失敗してもいいですから、やってみましょう」
長女の人はそう言ってくれる。目元と同じで優しい人なんだ。とりあえずクーシェちゃんの事は考えずに、ミラ姉とかフィリー姉とかマネージャーさん達が銅貨を投げる。けどそれらはツボには入らなかった。更にドヤ顔になるクーシェちゃん。
「そんな物ですの? あのプリムローズのメンバーなら入ると思ってましたのに」
口に手をあてていかにも笑いを堪えてます的な感じでそういうクーシェちゃん。ほんとこの子は……そしてそれに露骨にシシちゃんが反応するよ。
「見てなさい。絶対に入れてやるわ。私達はラーゼ様に見初められた選ばれた存在なのよ!」
そう言って狙い澄まして放つ銅貨は……ほちゃんとすぐ手前に沈んた。
「おほほほほほほ! 全然なってないですわね! そこにツボはありません事よ!」
そう言って高笑いを続けるクーシェちゃん。シシちゃんは悔しく恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして涙目になってる。そんなシシちゃんが私に近づいてきて、肩をたたいてこういうよ。
「頼んだわよコラン。あのくそ生意気な奴に目に物みせてやるのよ。このままじゃ、ラーゼ様に申し訳ないわ」
ええーだよ。ほんとええーーって感じ。だって入る気しないし……けどここまで私の大好きな人達がバカにされたとあっては私もちょっとムッとは来てる。だからこういうよ。
「ぜ、善処します!」
「ふふ、貴女にできるのかしらね?」
「が、頑張るもん!」
今までだって頑張ってきたら、うまくいったのだ。私はとりあえず下からなげる様にして狙いをつける。だって上から投げたらシシちゃんと同じになりそうだったから。私は集中するよ。そしてここだっタイミングで銅貨を投げた。けどそれは一目見ただけでわかるくらいに外れてて――(ああ……)とわたしはおもった。隣では意地悪な笑顔のクーシェちゃんがその口を開けて今にも嫌味を言いそう。
けどその時だった。どこかの誰かが投げた銅貨がぶつかってきてその反動で私が投げた銅貨がツボに吸い込まれた。
「「「あっ」」」
そんな声が皆出てた。そしてクーシェちゃんはとても悔しそうにハンカチ噛んでた。




