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θ80

 やってきたのは王都の学園である。今やキララが牛耳ってる場所。けどあいつ、最近自分の信者達に良からぬ事を吹き込まれてるみたいだからね。まあけどそれ以上に調子乗ってる――ってのがでかいけど。聖女やら女神やら呼ばれて持ち上げられてるからね。なんか独自に貴族との繋がりも作ってるらしいし……ここにいる子息、子女達じゃなく、当主とかとだ。心配なんだけど……こっちの話に耳を貸そうとしないからね。


 多分アレだ。反抗期みたいな? この年で親御さんの気持ちがわかっちゃうとはなんか複雑。寧ろ、私が反抗期しちゃいたいくらいなんですけど。けどすぐ近くに子供がいると、なんかそんなふうには成れないんだよね。とりあえず私は今、カメレオンの能力を使って透明になってる。この力はカメレオン特有の個性みたいなものだからね。魔力をとかを使ってなってる訳じゃないから、侵入者を阻んでるトラップに引っかかることはない。


 私は堂々と学園の敷地内へと入る。本当は変装してこようかと思ったんだけどね。制服も持ってるし。けど、どうやら変装は私の美を抑えることはできないみたいなのでやめた。他に類を見ない美しさってのも考え物だね。だって世界に私しかいないんだもん。そりゃあバレるよね。なのでせっかく手に入れた力を使うことにした。そもそもあんまり使ってなかったしね。私自身が危険な事をする必要ないもん。


 今の私には手足がいっぱいいる。それらを使えば大抵の事は思い通りだ。学園に侵入した私はどうするか悩む。そもそもどうやって見つけるか……ここはあの子に協力を頼むしかないか。そもそもここに来たのはサンライズのマネージャーを探すためだ。何故にこの学園かというと、一応ここは人種の国では最大の教育機関だからだ。つまりは優秀な奴らが多い。サンライズの為には優秀な子が必要だからね。


 せめて学はあった方がいいじゃん。それにここに通う年齢の子達って、何かやってみたい! 的な事を思ってたりするでしょ。まあそんな自由がある子ばかりでもないだろうけど……その時は私の権力でちょちょいだよ。でもまずはなにより、条件に合う子がいるか……だね。


「はあー今日の洗礼をよかったー」

「そうだね。私もまたチャレンジしてみようって思った」

「うん! 二人一緒にね!」

「ね!」


 通りすがる生徒のそんな声が耳に届く。見覚えのある紋章のバッジを胸元につけてる子達が何やら楽しそうに話してる。貴族の子女なのに軽い言葉遣いをしてるのはキララの影響なんだよね。前はもっとお堅く話してる子達が多かった。けど、それも変わったよ。これは良い事だとは思う。あんまり固く話してるとお友達って感じしないし。でも一体何にチャレンジするのだろうか? なんかまたやってるっぽいね。


 全然領の方にも顔見せないし……まあ勝手にやっててくれれば手もかからなくていいってのはある。必要な時だけくれば文句はない。けど最近はキララの信者共が各地でうざったくはあるんだけどね。あいつらの中ではキララが上か、私が上かが問題の様。いや、当然私だし。あんまり勘違いも甚だしいと叩き潰しちゃうかもしれないよ。一度は脅したんだけどね。信仰心というのは恐ろしいのである。

 そんなんじゃ信者どもは止まらない。私はそんな事を考えつつ、豪奢な寮の一室の扉を一定の間隔でノックする。すると一瞬扉に波紋が広がってカチャっというカギの開く音が聞こえる。私はノブを回して扉を開けた。そしてその部屋の中へと入る。


「お久しぶり」

「う……ん。なんだ……ラーゼ……様か」


 完全に取って付けた様だったね。まあいいんだけど。部屋の中は薄暗く、壁には何かが書き込まれた紙がびっしりと貼られてて、更に床には足の踏み場もない程にガラクタらしきものが溢れてる。そんな部屋の中央のぼっかり空いた所に彼女は倒れてる。寝てたのかな? まあ起き上がろうとしないけど。流石だよ。大抵の人は私を見たら背筋ただすんだけどね。けど彼女はそれでいい。彼女『システリア・スタンフォード』は真の天才なのだから。奇才といった方がいいかもだけどね。


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