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θ78

 ライブが終わっても誰も何も発しない。控室の空気がこんなに悪かったことがあるだろうか? って感じで空気が重い。彼女達、サンライズが消えた後、一生懸命私たちは盛り上げた。そしてちゃんと盛り上がって、総合的に見ればライブは今までと同じように成功と言えるだろう。でも皆、喜ぶ気分ではないみたい。原因はやっぱり彼女達サンライズでしょう。いきなり現れて、オーディエンスをかっさらわれたからね。


 特に二組同時に歌った二曲目がきっと尾を引いてる。だって同じ曲を歌ったんだ。しかも彼女達はかぶせる様にして歌ってきた。まさにあれはガチンコ対決といって差し支えなかっただろう。私だって別に手を抜いてた訳じゃない。けど……想定以上にセーバレスの力は強かったってだけ。あの時、オーディエンスはサンライズを見てた。全部じゃなかったけど、大半はそうだった。私自身が仕掛けたことと言っても、注目されるのが大好きな私としてはムッとしたよ。


 まあ本気の本気出せば、わたしなら注目を取り返す事もできたけどね。負け惜しみじゃないよ。手は抜かなかったけど、それは本気出してたって意味じゃない。私はもともと、プリムローズでは他の四人に合わせてるからね。私は私個人の輝きなんてもうすでに議論の余地なんてないじゃん。けど私がプリムローズで求めてるのはそんな事じゃないのだ。私は皆で力を合わせてより輝く……みたいな事をしてみたいのだ。


 なのであの場で個人の力をだして勝つのはやめた。そもそもそれは私の思惑に反するしね。今回は彼女たちの見せ場……デビューは派手で衝撃的な方がいいでしょ? まあそれがシシ達にはショックだったみたいだけど。けどこれで負けられない相手が出来たわけだ。これからはもっと切磋琢磨出来るんじゃないだろうか? 


「あの……ラーゼ様」

「なにかな?」

「あの……ライブの時に現れたあの子達は……その」

「凄かったね。サンライズだっけ? 私たちも負けてらんないよ」


 私がそういうと、シシは何か言うのを諦めたみたい。ごめんね、彼女たちの事はまだ離せないよ。正体不明のほうがなんか格好いいじゃん! まあ、彼女たちの使ってた船も設備もファイラルの物だし、気づいてる子は気づいてるっぽいけどね。でも私が明言しないとこれでわかってくれたでしょ。


「ラーゼ様、またあの方達に会えますか?」


 そういうのはコランだ。何かをずっと考えてようだったけど、何か答えが得られたのかな?


「また会えるよ。だって私達同じアイドルだしね」

「そっか。じゃあ今度はサイン貰いますね!」


 ポカーンとする私。そして激高するシシ。


「あんたね。あれは敵なのよ! 私たちの障害! わかってる?」


 コランの柔らかいほっぺたをひっ張りながらシシがそういう。


「へもへも、私もサインほひいもん! 書くだけなんてやひゃ!」


 どうやらコランはただ単純にサインというものが欲しいみたいだ。可愛い子である。私はシシの手からコランを救い出して頭をなでてあげる。


「そうだね。今度はサインをもらおう!」

「はい!」


 あの子達には至急サインの練習をしてもらう事が決定した。


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