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θ73

「本当なんだって!」

「ははっ」


 私はいつも一緒にプリムローズの会話を熱くしてる子の家に駆けこんでいた。そして事情を説明したんだけど……なんと鼻で笑われました。た……確かに、信じろという方が無理なのかもしれません。だって私が逆の立場なら、同じようなリアクションを取ると思います。けど……けど……


「これは本当なの……私が嘘ついたことある?」


 とりあえず声のトーンを落として真剣さを演出してみる。そして今までの経験則を出して説得力を増させます。玄関先で腕を組んで私のいう事を聞いてた彼女は、さも当然……という感じでこういいました。


「いや、あるでしょ」

「だね! でも今日言ってる事は真実だから! てか拒否権はないから!」

「ええー私今からお風呂なんだけど……」

「そんな事よりも大事なの! 今、来なかったら絶対に後悔するから!」


 私はもう説得は諦めた。だってこうしてる間にもラーゼ様は待ってる。あの方を待たせてる。それは赦されざる事ではないでしょう。彼女だってお屋敷に行けば分かってくれる。そしてその時、ラーゼ様の時間を無駄にしたことを嘆くのは目に見えてる。それならば、ここはもう強引に連れていくしかない。私はそう思って彼女の手を取って強引に家から連れ出した。




 そうして残り三人も強制的に家から連れ出した。残りは一人……だけどあの方は私が強引にできる身分の方ではありません。まあ出来なくもないけど、多分オウセリア様が連れて来てる筈でしょう。ブーブーと文句垂れてる後ろの三人。今は私への罵声も聞き流してあげましょう。どうせすぐに態度を翻すことになるんだから。そう思いつつ、私は再び胸がどきどきしてるのを感じる。またラーゼ様に会う。

 それだけで、街を駆け回った以上に心臓が動いてる。


「はあー」


 私は後ろで能天気に話してる皆を見て「お気楽だな」的な思いを込めた息を吐く。すると勘に触ったのかさらにうるさくこっちに攻撃してきた。ほんと女か集まるとうるさい。盛り上げると声のトーンを調節できなくなるよね。それは私たちが田舎娘だからなのでしょうか? 都会の人たちはもっとエレガントなのかな? 少なくともラーゼ様は……とてもエレガントだった。


「入るわよ」


 私は書斎の扉の前まできて後ろの子達に向かってそう言った。すると流石にオウセリア様に会うとなっては黙らざる得ない。静かになった所でノックをして中からの声を待つ。すると


「はんみゃあああああああああ!?」


 そんな奇妙な奇声が中から聞こえた。しかもこれは聞き覚えのある声だ。そしてそれ後ろの皆も気づいたのか、慌てて扉を開く。するとそこには床にまっすぐに倒れ伏したここのお嬢様が、白目向いてピクピクしてた。ああ……やっぱりこうなるよね。


「もう、誰も彼もこれじゃ話できないじゃん!」


 ラーゼ様が椅子に座ってそんな事を言ってる。私はここにラーゼ様がいるとわかってたから大丈夫です。けど……その声でお嬢様からその声の方に視線を向けた皆はそうじゃない。皆の視線が一斉にラーゼ様へと吸い込まれてく。そして……数秒の停止の後――さっきのお嬢様と同じような声を出して同じように床に倒れ伏した。うん……傍からみたら面白い光景だ。


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