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#31

『ラーゼ様、確か貴女は白狼姫と知り合いでしたでしょう?』


 そう言ってきたのはこの街の権力者の一人。突然そんな事を言ってきたのは正直怪しすぎたけど、二年経ってスズリ達がどうしてるのかは興味が……別には無かったんだけど、無事ぐらいは知らせてあげようとも思った。だから今は馬車に乗って優雅に旅行中だ。もしかしたら私を亡き者にする気なのかもしれないから、一応人質を取ったけどね。

 

「ラーゼ様、機嫌良さそうですね?」

「そう見える?」

「ええ、お友達に会えると良いですね」


 そう言って来るのは大人気オペラ歌手の「シーシ」だ。オラルド様とのデートで劇場で歌ってくれたその人。まだこの街に滞在してたから誘ってみた。この人かなりの待遇でもてなされてたから、この人ごと私を殺すなんて事は奴等もしないだろう。そもそも私に逆らう事もしなかった腰抜けだからね。多分私を街から遠ざけたかっただけなんだろうけど……シーシは保険みたいなものだ。

 本当なら権力者の家族とかを引っ張ってきたかったんだけどね。でも家族って言っても貴族とかはこう複雑じゃん。愛人とか寄越されても私わかんないし、それなら確実に高待遇受けてたシーシでいいじゃんってね。

 私頭いい。


「シーシさんはどうして歌手に?」

「私にはこれしかないからです」


 ううん? なんか重そうな話なのだろうか? シーシは笑顔だけど、これ以上は追求しないでみたいな空気を感じる。でも相変わらず綺麗な人だ。特徴的な青い髪はまるで海のようで、肌の部分にある鱗は陽の光を受けて煌めいてる。彼女は紫のドレスのような服を着て大きな帽子を被ってる。凄いカリスマ性のある服だ。私は今日はポニテに、肩や鎖骨を大胆に晒した服で、下はヒラヒラミニ・スカートだ。走りやすい靴も履いてる。

 今日行く場所は山だからね。動きやすくもオシャレを意識してるよ。そして居ないかの様にしてるけどうさぎっ子も居ます。彼女はいつものごとくメイド服姿で静かにしてる。馬車の中だけど、私達はうさぎっ子が入れてくれたお茶にお菓子も堪能してる。揺れてこぼれないかと思われるかもだけど、大丈夫。だってこれは高級な馬車なのだ。馬も名馬で籠は外も中も綺羅びやか。

 魔法か科学なのかわからないけど、この馬車に揺れはない。だから優雅にお茶をしながらもすすめるのだ。

 

「今日中にはつかないんだっけ?」

「そうですね。白狼の森までは遠いですから」


 うさぎっ子がそう言って何か思案してる。夜食を凝れないから心配してるのかもしれない。そのくらいじゃ私は怒らないけどね。時々止まったりしてる時は魔物が出てる時。だけど、護衛がちゃんと居るから、私達は馬車から出ることはない。優雅に一日目の旅路を追えてキャンプ地に到着した。流石にずっと座ってるとお尻が痛くなる。

 外にでると案外ボロボロの獣僧兵団がいた。大変そうだけど、これがお仕事。私が気にすることはない。テントは見た目は普通だけど、流石は魔法がある世界。中に入ると良いホテルの部屋があった。ベッドも大きいのが二つ。明らかに外で見たテントの面積よりも大きいけどそこは流石魔法で済むから気にしない。なにも疲れてない私達が一番疲れを取れそうなテントて休む……最高だね。

 

 しばらくテントで休んでると、良い匂いがしてきた。外に出てみると、皆さん食事にありついてた。私達のは? とおもったが、別に用意してるようだ。けどこういう所の食事は大勢で食べるのが良いんじゃない? キャンプってそういうものじゃん!

 

「私もあれでいいよ」

「ですが……ラーゼ様のお口には……」

「あれがいい!」


 そんな我儘を通して皆さんと同じのを貰った。するとシーシも同じようにした。この人、高待遇なのに庶民的だな。懐かしの素朴な味……これでも十分美味しいよ。そんな事を思ってると、何かが遠くに見えた。赤と青い光が点滅してる。近づいてきてそれがようやく船だとわかった。

 

「マジで船が飛ぶんだ……」


 形的にはまさに船。けど、私の知ってる船には無いものも見える。プロペラとかね。そして夜だけど目立つ所に獣僧兵団の紋章が見えた。私達の頭上を通り過ぎる船は獣僧兵団の物? 明らかにあの船は街の方へ向かってる。あれから私を遠ざけたかったってことか? そう思ってると同じようにその船を見つめてるシーシに気付いた。

 

(あれ? なんか輝いてない?)


 その瞳はなんか乙女って感じだった。船フェチなの? そうなの? そんな事を私は考えてた。

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