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θ39

「あんた馬鹿な……ん、バカだったね」

「うるさい」


 私はいま、牢屋の前にいる。まあ一時的にバカやった奴らを閉じ込めて置くだけの簡易的な牢だ。サイオスならその気になれば破れそう……とうか一回破ってるらしいけど。でもそんなことをしたら当然罪は重くなるわけで……しかもサイオスは発見されたとき、周囲を損壊させてたらしくて、罪状マシマシである。つまりはこいつは社会奉仕的な事をしないといけなくて、さらには強制労働にも従事させられることになってる。それも数週間。


 それでお咎めなしになるんだからいいのか悪いのかは本人の気の持ちよう。けど……私にとってはありがたい。だってこれで……こいつはツアーの護衛として来れなくなったわけだからね。笑いが止まらないとはこのこと。勝手に自滅してくれたんだからね。今回呼び出したのはこいつを説得というか……隔離しようと思ってはめようとしてたんだけどね。けど自滅してくれた。本当はめっちゃバカにしてやりたいけど、ここであんまりはしゃいでは私とラーゼの繋がりがバレるかもしれない。


 まあこいつバカだし、そうそうないとは思う。けどバカだからこそ、どこで気づくかわからなくて怖い。バカはどういう思考回路をしてるのかわからないからね。しかもこいつ超弩級のバカだし。


「すまない……俺のせいで……せっかくの大仕事を」


 何やら突如しんみりとした感じを出すサイオス。一応こいつも責任を感じることはできる様だ。俺様主義者だし、そんな感性ないのかと……まあだけど、こいつが一番残念なんだろうしこの責任も自責だよね。


「私は別にどうでもよかったから。それよりもあんたご愁傷様。一番張り切ってたのにね」

「まあな……だが俺は諦めた訳じゃない。俺は英雄だぞ? 俺たちは運命で繋がってるからな。こんな所で、その糸は途切れない」


 妙に自信満々にそういうサイオス。私は立った鳥肌を悟られないようにしながら背を向ける。


(なんなのこいつー! そんな糸繋がってないから!? 気持ち悪い)


 私はこれ以上この場にいたくないからさっさと歩き出す。


「まあ今度は下手な事しないことね。今度こそ、犯罪者として落とされるわよ」


 このままだとまだ安心できないと思い、私は脅しをかけとく。だってこいつバカだからね。後先なんて絶対に考えないで動く。


「わかってるさ。大丈夫。俺は凄いからな!! なあゼラ……お前は俺が守る」

「知ってる……けど頼んでない」


 ほんとこいつはどこまでそれにこだわるのだろうか? 何がそこまでこいつにさせるのか? これで私がラーゼって気付いてないのがね……いやまじかよって思う。私の言葉に、サイオスはまっすぐこっちを見てる。その目には自信しかないように見える。


「それも知ってる。だが、これは俺の誓いだからな。安心しろ! お前はそうやって不遜にしてろ」


 何を言いたいのか……あんまりわかんないんだけど。まだカメレオンたちと接触してないからな。何があったのか聞いてない。この姿であんまり怪しいことはしたくないからね。何かがあった? 私はチラリとサイオスを見る。サイオスは赤線の奴に何か話してる。そしてサイオスが入れられた牢から出たら今度は赤線がうざくなった。超近いんですけど……しかもまわりを威嚇してるし……


「あんたも牢屋にぶち込まれたいわけ?」

「いえ……ですが……」


 なにか歯切れが悪い。けど私が聞いても「男の約束ですので!!」の一点張り。これはやっばり何かあるな。私はそう思った。


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