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θ10

 片田舎……とまではいかない町はそれなりににぎわってた。そりゃあ都市である『アナハイム』とか他二つと比べると、完全に見劣りするけど、人々は前を見て歩きそして楽しそうだ。うんうん、私の領の人達が健全なのはいいことだよ。それもひとえに私のおかげと言えよう。いやいや、ただ自慢したいからこんなことを言ってる訳では断じてない。


 ほら、その証拠に道行く人たちの中にはチラホラとカードを持った人たちがいる。それが何かって? あれは魔法陣を組み込んでるカードではない。大きさは一緒なんだけど、裏面のデザインが違うようにしてあるのだ。ほら、既存の商品のラインを流用できれば、コスト削減になるじゃん。なので魔法カードと同じように、けどそれとはちょっと違う感じにそれは出来てる。

 私たちの姿が映ってて、写真みたいな? 


 まあ写真といっても動くんだけど……だからって動画――ていうのもちょっと違うというか? ようは外に作用されない魔法があの中には組み込まれてる。そしてあのカードの中の私たちは自己っていうのもおかしいけど、勝手に動く。それは声とかを届けることはできないんだけど、でも可愛い私たちがカードの中で……いや、自分たちの掌の中で動いてる。

 それはもうファンにとってはたまらないことではなかろうか? これは実際、かなり当たってる。考え付いた私が恐ろしい。確かに科学レベルでは前の世界に劣ってるけど、化学と魔法が合わさると、前の世界以上のものができるという証明ではないだろうか?


 実際、そのカードを手にしてる人たちは顔がちょっと気持ち悪くなってる。あんまりカードばかりを見て歩くのは危険だけどね。歩きスマホならぬ、歩きカードだよ。まあけどわざわざ私は注意したりもしないし、もしも馬車かダンプに轢かれたとしても私は自己責任という判決を下すのは決定事項なので。道具は道具でしかないんだよ。使い方にまで私は文句はいわない。


 たとえ私のカードに白い液体をぶっかけてても別に怒ったりしないのとおなじなのだ。けど残念……実は私のカードはない。なぜなら、私は魔法で転写できなかったからだ。なぜか映らない……それはネジマキ博士達もわからなかった。なので私以外の子達のカードしかないのだ。だから世の私に白い液体を掛ける夢を見てた人たちはさぞがっくりしただろう。


 まあけど、こればっかりはしょうがない。メルが言うには、私を写す器に足りえてないとか言ってた。どうやら大量生産品では私という究極の美少女は留めておけないみたい。そういわれると納得だよね。だって私だよ? 激レアとし最高級の材質の器を用意すればなんとか行けるかな? って今は考えてる。そういうのはコレクターの琴線をくすぐるし、悪くはないよね。



「だらか……であって……だよ!!」

「いやいや……ってのも……だろう!?」

「それをいうなら……」


 歩道を優雅に歩いてたら、なにやら盛り上がってる声が聞こえてきた。その三人組はカードを取り扱ってるであろう店の脇にたむろして何やら熱く語り合ってる。彼らは手に例のカードを持ってる。アイドルカード――略して『アイカード』を手にしてることを見るに多分推しメンか何かでもめてると見た。私はすすすっと彼らに近寄って耳を澄ましてみる。


 え? 何してるのかって? いやいや、なんかおもしろそうじゃん。そしてあわよくば私のことを褒め称えてる言葉が聞きたい。うん。私はそういう子なのです。


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