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Σ89

 マントの中で一斉に暴れだす鉄血種。流石にこの人数は抵抗が激しい。ズリズリと私の身体事態が引きずられ始める。ここに居る鉄血種達は一気に取り込んだ筈。後はこいつらの布を奪うまで、死んでも離さなかったら、形勢逆転……出来る? あのオジサン鉄血種は? 私はチラッとそちらを見る。けど奴は動かない。どう見ても鉄血種のピンチだろうに……良いのだろうか? 

 

(まあ、こっちとしては動かないでいてくれた方がありがたいけど)


 てか……足が浮く。奴ら上に向かってるような? 流石に振り回される事を拒否なんてできない。女一人で鉄血種数十体分の行動は踏ん張れないよ。けどマントの外には死んでも出さない。これは唯一のチャンスなんだ。

 

「きゃああああああああ!」


 私を振り回して、鉄血種達は縦横無尽に動き回る。半壊した建物にぶつかったり、地面を擦ったり、散々だ。鉄血種たちを包んでるだけでマントは精一杯。私を守る防具は今はアトラスだけ。アトラスがあるから私の身体はまだ壊れてない。けど……既に額から……全身から血は流れ出て、肌には青い痣とかが増えていく。けどもしここで私が死んでも……こいつらの力だけは奪わないといけない。

 

 それは……それは絶対だ!! 

 

「うおおおおおおおお行くぞ皆あああああああああ!!」

「「「おおおおおおおおおおおおおお」」」


 沢山の人達の声が重なって響き渡る。地面近くを鉄血種共が通るのを予測してか、カタヤさん達は瓦礫と化してた建物から一斉に飛び出してきた。そしてマントにくるまれてる鉄血種達の上に重なっていく。物理的な重量の重なり。流石の鉄血種共も止まる。こういうのはグルダフさんなら得意そうだけど……どうやらさっき私の盾になってくれたダメージのせいで、間に合わなかったみたい。

 

「俺達だって……」

「ああ、やれる!」

「頑張ってくれ嬢ちゃん!!」


 そんな風に皆さん言ってる。ここが彼らも頑張りどころだとわかってる。私も……そうだよ。皆の重量で鉄血種は止まってる。私はヨロリと立ち上がり、集中する。するとマントから黒い靄が出だしだ。波のように何かがマント全体に伝わってくる。十数体の鉄血種の布が取り込まれてる。何か……背筋に悪寒が走る。これは力になる。それは確実だ。

 

 けど……一気にこれだけの鉄血種を取り込む……それは大丈夫な事? 一瞬そんな考えが頭をよぎる。でもしないなんて選択肢はない。できない。だから私は鉄血種達の布、全てを奪い尽くした。

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