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Σ86

「どうする? 今の状態で、私をかわせるかしら?」


 そう言ってきたのはあの女鉄血種だ。これ以上奴に触られる訳にはいかない。多分マント部分なら奴の力も防げると思うけど……今は無理。なんとかして、やり過ごさないと。

 

(てか、なんでこいつはこんなに正確に私を追ってこれるの?)


 おかしい……私の分身体はそこら中にある。鉄血種どもに潰されて行ってるけど、次から次へと無造作に放ってるからね。だからこんな正確に鉄血種が私を追ってこれる訳ない。それなのにこの女鉄血種は正確に私を追いかけてくる。分身体には目もくれない。

 

(まさか……見えてるの?)


 けどこの女鉄血種も真っ赤な目が飛び出てる状態だ。見えてる筈がない。それはこれまでの戦闘で、そして今この時の他の鉄血種の動きを見ても明らか。だってわかってるんなら、全員が私を目指してくるはずだ。

 

「うふふ、あははははははははは!!」


 裂けた口を開いてその奥から長い舌を振り回しながら、そんな声を発してる。どうやらそうとうハイになってるよう。赤い月のせいかな? それとも元々こんな性格なのか。

 

 女鉄血種はその手を真っ直ぐに伸ばしてくる。単調な行動だ。ハイになり過ぎで頭回ってないんじゃなかろうか? けどそれは私には好都合だ。

 

「こんなの!」


 私は横に避けていく最中、銃を口に咥えて女鉄血種に手の平を向ける。そして放ったのは黒い炎だ。カードを入れ替えたい所だけど、素早く切り替える事ができない今、これがきっと最善手。でもその炎は布によって防がれる。

 

(だよね……)


 絶対にそうくると思ってたよ。けどこの炎はきっと奴らも布でしか防げない。それを上手く使えれば……一瞬でも視覚を遮る事が……

 

(あれ? こいつらのこの目って、障害物とかどうなるんだっけ?)


 マナを見てるのはわかる。けどそれがどういう風に見えてるのかまでは、私は鉄血種じゃないからわからない。でもかなりアバウトに見てる筈だ。だって本体である私と、分身体であるマナの塊を見分けられない程だからね。精度はそれほどでもないってわかる。まあこの眼の前の女鉄血種は何故か完全に私を捕らえてるけど……こいつの目が特別? 

 それも有り得るけど……何かゾッとするものを感じるんだよね。ただの勘なんだけど、目じゃないみたいな。なんとなくそんな気がする。

 

 じゃあ視覚から筈れれば隙が出来るかっていうと、また違う気がする。今のこいつらの目はアバウトだ。でもそれはきっとネガティブな事だけな筈ない。だってこっちがこいつら鉄血種の本気モードなんだから。精度をおざなりにしても広範囲を見ることができてるとしたら? マントを使った空間移動なんかだと流石に分かってない感はあるけど、だいたいこいつらの対応は速い。

 

 それにベールさんの狙撃……それがなかなか当たらないのも実は弾をみてかわしてるからかも……ベールさんの銃は実弾を発射してるけど、色々と弾丸事態に魔法的なギミックは仕込んである。だから当然マナを纏ってる。それを見てるのだとしたら、こいつらの身体能力なら見てからもかわせるかも。

 

「きゃあはははははは! 痛くなかったでしょ!! 怖がらないでいいから!!」


 そう言って手を幾度も伸ばしてくる女鉄血種。直線的な攻撃はかわしやすい。いや、普通の人種の身体能力ならそれでもギリギリだと思う。けど私にはアトラスがある。だからどうにかなる。けどだからってこのままじゃ駄目だ。踏み出さないと状況が改善しないのなら……やるしかない。それに他に試して見たいことも実はある。

 

「惑わされるな。マルクテイスを追え。それが本体だ」


 そんなに張ってないのに何故か届く声。この声はあのオジサン鉄血種。そして状況が一気に悪くなる。女鉄血種の後ろに続々と列が出来てきた。

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