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「なんかパワーアップしちゃったんだけど?」
カサノヴァは始祖の龍に食われた。それ自体はザマァではある。最後に煽れたし、奴の絶望した顔はとてもよかった。でも……そう、なんか始祖の龍はカサノヴァの施したメイクをそのまま活用してるのだ。
具体的には首が三つになってる。カサノヴァがメイクとしてやってた時はその後付けした頭はただの飾りみたいなものだった。確かにそうだった。ただのおもちゃみたいなさ……それがありありとわかるような感じだったのは間違いない。
間違ってもあんな精悍なつくりはしてなかった。むしろどっちかというと不細工な感じで愛嬌を狙ってるような……さ。そんな風な奴だったじゃん。なのに……なのになのに、なぜか今の後付けの首というか? 顔はもう完全に始祖の龍の顔になってる。間違いなくいきてる。だって……
「ガオガオ」
「ガガガ!! ガオガオ!」
「グガアアアアアアアア!!」
――とか顔同士で言い合ってるもん。左右の顔がガオガオ言ってて、それがきっとうざったかったんだろう。それかどうでもいい事を言いあってたとか? 私にはガオカオがどんな事を言ってるのかわかんないから不明だけどね。
それにカサノヴァのメイクの残りがあるのは顔だけじゃない。なにせカサノヴァは全身のメイクを完成させてたんだ。だからこそ、始祖の龍はそれを根こそぎ自身の物にしてしまった。
あれだけ派手派手にレインボーとかに光ってたカサノヴァのメイク。でも流石にそれは始祖の龍の趣味ではなかったんだろう。顔は見えなくても、体は見えるからね。
「なんだこれ?」
とかおもってたのかもしれない。それならある意味で始祖の龍も我慢してた? のか? 我慢とか知らなそうなやつだと思ってたけどね。でもその力でメイクを完全に自分色に染めた始祖の龍はパワーアップをしてしまってるようにみえる。だってなんか姿変わってるし。光らなくなって、変なペイントは消したようだけど、伸ばした爪とか、翼についたひらひらとした装飾、増えた尻尾とかもすべて自身の物にしてしまった。
けど……
「安心しなさいカサノヴァ。あんたの死は、無駄にしないわ」
私はそういってヴァラヴァレレイドに思考を飛ばす。このままじゃ次に食われるのはヴァラヴァレレイドたちだから。とりあえずある場所を目指して彼らにはにげてもらう。時間稼ぎだけど、始祖の龍は楽しく追いかけっこしてくれるでしょう。




