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始祖の龍に施されてたカサノヴァのメイク。それはまるで始祖の龍を全く別の存在のように変えてた。見た目もそうだし、その存在も。始祖の龍という一体の個。絶対の個を、カサノヴァという神の序列に強制的に組み込むような……神の下に収めるような……そんな概念の変更。
一時的には確かにそれは上手くいってた。始祖の龍もあれが攻撃……なんてのはきっとおもってなかったんじゃないのかな? だからこそ、好きにさせてた感じはある。そしてそんな攻撃の様で攻撃じゃないような攻撃……によって始祖の龍には自身も知らずにその概念が改変されていった。
そして一時的には……そう、一時的にはちゃんとその影響を始祖の龍は受けてたと思う。ちゃんとメイクは完成して、その影響もちゃんと受けた。でもカサノヴァの概念を変更するメイクも、いつまでも始祖の龍に影響を与え続けることはできなかったんだろう。
いや、いつもはきっとそうじゃない。カサノヴァの力はきっと固定……できるはずだ。メイクが完成したと同時に、その概念も新たな方に固定されて、それをきっと新たな概念へとするには同じ系統の力が必要なはず。
メイクの完成はカサノヴァの完全支配の象徴でもあった。だからメイクが完成してカサノヴァも安心してたんだろう。これでもう……という気持ちがあった。まあわかる。だって始祖の龍は完璧に脳筋だからね。
頭使う系のやつじゃない。それは正しい。カサノヴァの読みはその通りだっていいたい。でもカサノヴァには理解がたりなかったと言わざるえない。始祖という存在の理解だ。
確かに同格の神、ちょっと自身よりも強いくらいの龍とかには概念を書き換えればそれでよかったかもしれない。でも始祖は根本から違うんだよ。始祖の力は別格だ。確かに始祖の龍の奴はなにも考えてないまさに野生の獣だ。
でもその力は本物で、だからこそ厄介だ。完璧に概念まで書き換えたとしても、始祖の龍は僅かな違和感……「何か違う」とか「気に入らない」とかの感情で……支配から、概念から脱却できる存在だ。
カサノヴァの押し付けた概念。貼り付けた物を、始祖の龍はその後からどうどうと土台からひっくり返すことが出来る。それが始祖って奴なんだ。
「こんな……バカな……」
始祖の龍に施された派手派手なメイク。それはすぐに始祖の龍の本来の力によって黒く染まっていく。
「私は、新たな宇宙の神に……新たな始祖に……」
手を伸ばすカサノヴァ。腹を貫かれても最後に一撃……いれようとはしてたみたい。でも、それを受けても始祖の龍は何も感じなかった。そして最後に、カサノヴァに止めを刺したのは始祖の龍にカサノヴァがつけた顔の一つ……だった。




