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Σ83

 激しい光に幾人かの鉄血種の動きが止まる。いや止まるだけじゃない。目を押さえて大きく仰け反って悲鳴を上げてる。どうやら、人種よりも良い目を持ってたのが仇になったみたい。けど効いてない奴もいる。そいつ等は既に目が変わってる奴らだ。マナで相手を判断する状態に成ってる奴ら。私はカードを素早く入れ替えて自身の少し前に弾丸を撃ち放つ。


 地面に当たった弾丸は淡い光をその場に表す。そして更に私はカードを入れ替える。効かなかった三体の鉄血種は私の手前のその光に向かって攻撃を仕掛けてる。奴らは相手をマナで見てる。だからこそ、私のマナである分身体に釣られてる。そんなマヌケな奴らに、私はありったけの弾丸を打ち込む。

 

(これでどれくらい稼げるか……せめて後三秒)

「ふふ、なかなかやってくれるじゃない」


 その時、地面からそんな声が聞こえた。視線を下に向けるとあの女鉄血種がいた。頭と腕だけを出して私に触れようとしてる。その手からは何か嫌な感じがあった。あれに触られたらいけない。本能がそう訴えかけてる。私は銃を撃ちながら、ジャンプしてそいつから逃れる。けど既にそこに女鉄血種の姿はなかった。

 

「つ〰かま〰えた〰」


 ゾクッと全身に走る悪寒。いつの間にか横に居た彼女は私の左腕を掴んでる。そして上機嫌に紡いだ声と同時に、ソレは行われた。彼女が何をしたのかわからなかった。だって痛みも無くソレは行われたからだ。私の掴まれた腕は、その掴まれた部分を堺にグニャっとあらぬ方向に曲げられてる。まるで骨が無くなったの様にプランプランとして……それは本当に骨がなくなったのかもしれない。

 だって、普通は骨が折れる筈だ。そしてそれは相手にも私にもわかる。けどそんな実感は全くなかった。

 

「ねっ、痛くないでしょ。だから怖がらなくていいの。コネコネされるの、癖になるから」


 そういう女鉄血種は妖艶に微笑む。いやいや、逆に恐ろしいよ!! やっぱりこいつが何かやってるんだ。私は銃弾を撃ち放つけど、彼女は関係なしに私の左腕を折りたたんでく。何度も何度も私は撃つ。けど「うふふ、へへへへ」とさえずる口からはついにはヨダレが垂れてくる。折りたたまれた腕は既に肘まで来てる。痛みもなくただその信じられない行為を見てるしか出来なくなったら……きっとそれだけで気が狂ってしまうだろう。

 

 それだけ、気持ちわるかった。この眼の前の鉄血種が……そして折りたたまれていく自分の腕が……

 

「「亜子おおおおおお!!」」


 そんな私の所に、駆けつけてくれる二人。カタヤさんとグルダフさんの武器が交差する。けどその時には女鉄血種は姿を消してた。けど、それだけで助かった。腕は治ってない。多分これは回復魔法とかでも治る類の物じゃない。奴を倒すまではこのまま。その時、私のマントが薄く輝き、全部にそれが広がってく。なんとかさっき包んだ奴の布を取り込めたようだ。

 

 そいつは異空間に送って無力化……必死の思いと左腕を犠牲に一体。いや、それと沢山の命か……多大の犠牲の上に一体を無力化した。けど、これはまだ……まだやれる証。私はきゅっとマントを握った。散っていった命の分だけ、私達は抗わないといけない。

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