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&514

 私はある弱弱しい神に扮することにした。一応私という神はカサノヴァの勢力にやられたことになってるしね。それにここにはカサノヴァ神の勢力もいるわけで、私が目立ち始めたらあいつらがどういう風に出てくるかわかんない。

 カサノヴァ神には恨みがあるが、あいつらはちゃんとした力をもってる神でもある。ならば……個人的な恨みで消すよりもこの宇宙の為に働いてもらった方がいいだろう。それが宇宙への贖罪で私への贖罪だ。そういうことにしてあげようって思った。


 外で現宇宙全体を見守る私と、中で暗躍する私を作り出して神々が集まってるところに落とす。神々が集まってるのに、誰も新たな神が現れたことに気付いてない。まあ見た目地味目にしたからね。人の形で、肩までの髪に姫カットで目が隠れてる黒髪の少女の神としてね。

 ポツンと私は自然に現れた。周囲はざわざわとしてる。人型の神、動物のような姿の神。異形の神……いろいろといる。でも耳を澄ませば色んな言葉でバラバラなんだけど、頭が勝手に変換して伝えてくれる。


「もう終わりか……」

「そんな……何か手はないのか?」

「このままなんて……」

「じゃあ、あれに挑むか?」

「それは……」

「あんなの無理だ」

「神になって初めてだよ。本当の恐怖を感じたのは」

「それは俺もだ」

「私も……」


 どうやら一度始祖の龍を見た神たちはその心が折れてしまってるみたいだ。なるほどだからここでぶるぶる震えてるだけの神が多いのか。命からがら逃げてきた被災者の気分なのかもしれない。でも被災者はいつかは自身の家に戻ることができるけど、彼らはもう戻ることはできない。

 できないというか? もうないし? 自身が育ててた宇宙と共に彼らの神としての自信も食われたのかもしれない。私はこの場を歩いて神たちの意志を確認してみた。歩くだけでたくさんの情報が入ってきた。みんなきっと一人でいるのが怖いんだろう。そして何もせずにただじっとしてるのも怖い。だからやけに皆しゃべってる。しゃべることで不安を和らげようとしてるんだと思う。

 そんな中、私は異質な光景を見つけた。何やら一人の神の回りにたくさんの神が集まってる。いや、集まってるというか……なんか平服してるけど……何事?


「ククール神様。この宇宙の未来に希望はあるのでしょうか?」

「我々はいったいどうなるのでしょう?」

「希望を! 希望を教えてください!」


 そんな言葉が聞こえる。何やら中央にいる神様は大変そうである。私はいったいどうするのだろうか? と興味本位に覗くことにした。

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