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『私はしませんけど、見てきた。ずっとずっと。ここは終わらないけど、終わりが来る者達のこと。でもなんで、そうしたのかわかる?』
「そうしたのか?」
ハテナ? が私の頭に浮かぶ。蝶は何をいいだした? でもなんか直感が働いた。そうした……待って、そうだよ。命を作ったのは始祖だ。命の終わり……その仕組だって輪廻だって、作り出したのは始祖だ。
まさか……死には意味があって、実は命に生だけを与えることだってできた? 待てよ、そもそもが最初に始祖の龍が作った生命……は龍だ。今や古龍と呼ばれてるあの数体が直接的な始祖の龍の創造物と言える。
そいつらは実質寿命なんてないに等しい。龍は神と同列みたいに語られるが、根本が違う。神は生命を超越してるが、龍あくまでも生物だ。神の肉体はエネルギーで構成・構築されてるエネルギー体であるが、龍や竜の体はちゃんとある。生命体として構築されたちゃんとした肉体だ。
ならば普通なら肉体の劣化が起きる。起きるはずだ。実際、起きてるのかもしれないが、今の所寿命で無くなったという古龍はいない。あの現宇宙ができたと同時に古龍たちも生まれてるとみていい。
そうなるともうほぼ永久不滅みたいにおもってていいだろう。ちゃんとした生命体なのに、永久不滅なんだ。神はエネルギー体だからね。エネルギーさえ確保できれば、いつまでだって生きてられるのはそうだろ。
神をつくったのはズラララバライトから聞いた限り始祖の龍ではなく、古龍たちだ。始祖の龍を止めるための協力者として、戦力が必要だと思って宇宙を成長させるために星を作り命をばらまいてその中から神の選別を行った。
つまりは……だ。死がないと思われる完璧と言える生命? 生物? は始祖にしか作り得ない存在ということ? だって事実、古龍以外には本当の不死の生物と言うのはいない。
竜とか今の龍達だって、古龍よりははっきりとした寿命があるみたいだし?
「まって、もしかして終わりって死? 意味してる? でもそれは始祖の龍が作ったわけじゃないような気がするわよ。始祖の龍が作った古龍たちには終わりはないし」
『それはあくまで、既にそういうルールだったからだよ。結局生み出した者達は、作り出した者の定めたルールの中でしか踊りえないもの』
なるほど……人が生物が死というものに縛られてるのは古龍たちの力が足りなかったから……ではなく、宇宙のルールは元からそうだったから……と蝶は言いたいらしい。けどそれなら……
「なんで? だって、あいつは食事の為にゼロから宇宙を作ってるんだよね? なら死が、終わりがない方がどんどん増えない?」
『本当にそうかな? 終わりを自覚しない者達は、どうやって生きてることを自覚するのかな? 私達みたいに』
なんか最期に怖いことを蝶は言ってる。けど、私は増えない例を思い浮かべてた。それは古龍……アイツラはそう……増えてない。竜とか龍は増えてるけど、それも頻繁ではないだろう。
人類……あれはめっちゃ増えてる。でも、文明が発達して危機が、そして寿命が遠ざかる程に増えなくなる。それは少子高齢化が物語ってる。まさかこんな単純な理由だったなんて……ね。
なにか高尚な考えとかがある……なんてことはなかった。命のサイクル……生を受けて死に至る一生の流れ。それって実は……
「ただ始祖の龍が食事を豊かにするためだけのルールなんだね」
そういうことだ。




