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「ねえ、ちょっと聞いていい?」
『何かしら? ふふおしゃべりは楽しいから好きよ』
おしゃべりなのに、ずっとここに一人でいるの? それって余計にさみしくないだろうか? この蝶はとても親切にしてくれてるし、さみしいとか思わせるのはなんか忍びないか感じがする。
まあでもきっと、私なんかよりもずっと長く存在してると思うし、きっと私が思ってるよりも全然この蝶にとっては一人は平気なのだろう。でないとね……神とか始祖とか、そこら辺の時間の感覚は生命とは違うのだ。
命を管理する側である私たちはそれこそ「死」と限りなく遠い。だから私たちにある時間は『永遠』といえる。普通ならね。なのに下手に始祖の龍とやりあったら、その永遠が終わるかもしれない。
いや、確率的には私よりも確実に始祖の龍は強いから、その確率が高い。だからこれ以上関わりたくないだよ。でもまだ繋がりは僅かにある。私自身にはもうないが、私の周囲にはある。
(この蝶、きっと始祖だろうし味方になってくれないかな?)
そんな事を心内では考えてるわけだけど、直球でいうのはどうかと思って、まずは軽くジャブを放つ。
「ねえ、どうやってこの場所で目的地を見つけてるの? 私全然わからないんだけど?」
教えてくれるのかはわかんない。だってもしかしたらこの蝶の秘伝の術とか使ってる可能性はあるからね。それかこんな超みたいな奴で全然戦闘力とか感じないけど、私の事、ちょっとは警戒して教えてくれないとか有りえる。
それか何か対価を求めるとかも可能性的にはあるだろう。なにせ私はここでこの蝶に会ってずっとたよりっぱなしである。むしろ何か交換条件とかつけるほうが普通というか? だって別に私を案内してくれるのにメリットなんて……ね。いや、おしゃべりが好きなら、話し相手になってるだけで実はいいのか? 蝶はとても幻想的だけど、その表情とかは全く持ってわかんない。
そもそも蝶は表情なんて変えないだろうしね。この蝶はめっちゃ特殊だとは思うけどね。
「ふむ、どうやって貴方は目的地を探そうとしてるんです? ちょっとやってみてくださいな」
軽快な感じの言葉で彼女はそういう。私はならば……と普段からしてるように自分を中心に力を広げていってそれによってその力に触れた物が伝わってくるという、そんなオーソドックスな事をやってみせた。
けどこれじゃあ何もわかんないんだよね。いくら無が広大だといってもさ、めっちゃ広げて探してるのに、一切何にも引っ掛からないなんてあるだろうか? うっすらはと意識のどこかにさっきいった現宇宙はわかる
けどそれは私が目印に置いてきた残滓のおかけであって、私の広げた力が現宇宙にまで届いてるわけじゃないんだよね。おかしい。だってせめて現宇宙には届いてるはずだ。
なのに何も見つからないんだからね。
『なるほどなるほど、うんうん』
なにやら蝶はそんな風に納得してる。そしてはっきりとこういわれたた。
『そのやり方じゃ一つしかカバーできてないよ』
一つ? が何を示してるのか、私にはわかんない。




