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「これ以上私が首を突っ込んでも……ね」
既に地球もこっちにあるし……私はちらっと目を向ける……小さな天体模擬がそこにはでてきた。
太陽を中心にして、太陽系が小さな姿で再現されてるオブジェみたいなものである。オブジェとは言ったけど、これは本物である。この小さく見える星の中にそれこそ何十億の人たちが何も知らずに普段通りに暮らしてる。
だってまだ新生宇宙は宇宙としての姿も不安定というか? そこまで宇宙の部分があるわけでもないというか? だからね。宇宙だってただで生み出してるわけじゃないんだよ。
色々と私に都合がいいように世界を作らないと行けないというのは大変なのだ。なんでも出来るからこそ、大変っていうね。本末転倒なことになってる。でもだからこそ、私は新生宇宙に集中したいってのが本音である。これまでは新生宇宙と現宇宙に私は片足ずつ突っ込んでる状態だった。
でも今や私は新生宇宙だけに完全に軸足を移したといっていい。本当ならもっとゆっくりとやるつもりだったんだけど、始祖の龍が目覚めたことで、私的にはもう現宇宙には見切りをつけた……という感じだ。
なのでもう関わりたくないってのが本音だ。だってこっちと元宇宙には関わりも繋がりもまったくないわけで……本当ならね。ヴァラヴァレレイドやルドルヴルヴが向こうの存在だから、まだ完全には切れきってないのがちょっと不安ではある。
だって私は当然だけど、眼の前のこの子……ウサギっ子も宇宙の隔たりを超えてここに来ることができてる。それはウサギっ子の特別な才能なのは確かだ。彼女の私への執着……それか強すぎて、全く別の宇宙までも追いかけてきた。
それはまさに言い換えれば『愛』ともいえる。たってそれだけ私の事がウサギっ子には刻まれてるからだ。でも問題はウサギっ子にもできた……ということだ。ウサギっ子も宇宙を超えて移動出来るのなら、始祖も出来るだろう。できない……と思うほうがおかしい。だって始祖に制限なんてないんだから。
だからあんまり向こうに関わりたくないんだよね。下手したらこの宇宙が……新生宇宙が始祖の龍にバレるおそれがあるからだ。まだ今は元宇宙を食うことに重きをおいてるみたいだけど……それを食い終わった後は? その時にこっちに来られたら困る。
だからあまりちょっかいをかけたくないんだけど……
「もう遅い気もするよね」
散々あいつの妨害したからね。獣のようなやつだったし、眼の前の事だけを見てたら忘れたりしないだろうか? それだととても助かるんだけど……
『中位の神達の宇宙が食われたの』
そんな事をズラララバライトが報告してきた。おもったよりは持ったけど限界だったか……時間はもうないね。




