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&466

「お願い、あとちょっとだけ頑張ってドラグ!!」


 私はそんなお願いをドラグにする。もちろん無茶なお願いだってのはわかってる。すでに濡れ雑巾から乾いた雑巾になるくらいには絞り尽くしてるドラグだ。ここから更に? なんてのはかなりの無茶だ。

 でもその時間が必要なんだ。ドラグは私の期待を裏切ったりなんてしない。私が新生宇宙に迎えるために、本当にこの現宇宙の力をかけらも残すことはないだろう。それは自分の崩壊を覚悟してるほどだ。

 私がその先で待っててくれてるとおもってるからだ。


「今、この魂なんて!!」


 その気持がドラグに更に僅かながらの力を絞り出させる。そしてその強固な思いと、絞り出した命の力は……一度だけ。そうたった一度だけ、始祖の龍の力を弾く。大きく開いてた口。それに吸い込まれようとしてたドラグ。けどその顔を大きく弾き、更にはその口から大量の何かを吐き出させた。

 それは血なのかもしれない。始祖の龍の血。でもまだ、ドラグは止まらないよ。曖昧だったドラグの体。霧のように……靄のようになってるその体を束ねて始祖の龍の腹に染の体をぶつけた。拳……とは言えない。だって靄だから。靄だから普通に物体にあたったら拡散しそうだけど、そんなことはなく、大きくくの字に折れたのは始祖の龍の方だった。

 グリングリンと激しく飛んでいく始祖の龍。一体何がおきたのか? それだけ効果的だった? 同じ宇宙の力なら、始祖の龍に通用することはないのに? けどカッ――と始祖の龍の目が光ったと思ったら、大きく翼を開いてピタッと止まった。そしてドラグを睨む。

 でも次の瞬間、なにやら始祖の龍のお腹がボコボコと膨れだした。一体何が? と思ってると、お腹のボコボコが胸に移り、喉を膨らませて、口からそれがでてきた。ボトボトボト――と汚い吐瀉物を始祖の龍が吐き出してる。それは咀嚼したはず……とか消化中みたいに、ドロドロになってることはなかった。

 寧ろ食べた時のままの姿といっていい。宇宙の無重力に囚われて、周囲に漂うそれら……でも自身が吐き出したものには始祖の龍は興味ないみたいだ。寧ろ……とても憎々しいような目でドラグをみてる。

 始祖の龍はもう油断も奢りも捨て去って、ドラグを食う気みたいだ。そしてそれにドラグも逃げずに立ち向かう。


「ありがとうドラグ」


 私はそう呟いた。だって、十分な時間は作ってくれたからだ。


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