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ドラグの奴が体を張ってるおかげで、私の現宇宙を食べるスピードが落ちてる。でもそれも今だけだ。すぐにきっともとのペースに戻って私が宇宙を広げるよりも、始祖の龍が宇宙を食らうペースの方が早くなるだろう。
そうなるとあっという間だ。そもそも今の私の現宇宙の力は有限で、そろそろ底が見えてる。そうなるとそれ以上宇宙を広げることもできなくなるわけで……宇宙はどうやら租借とかする必要もなさそうだし、そうなると……ね。
まるでスープを飲む……いや掃除機で吸うように始祖の龍は宇宙を吸える。それだと本当に一瞬だ。吸われても広げ続けることでなんとか消滅を避けてきたけど、それができなくなると、何分も持たないと思う。
「何やってるのよあいつらは!」
私のかわいいドラグが頑張ってるってのに、このまま何も起こさずに終わったら許さないわよ? その時はアクトパラスもゼンマイも魂を見つけ出して地獄に送ってやろう。いや地獄はないけどさ。私は始祖の神だ。二つの魂を地獄……のような場所に送るくらいできる。
まあ始祖の龍に完全に食われてると難しいんだが……実際始祖の龍に食われたら輪廻には戻らず奴の血肉になってるようだからね。
ドラグも最後の最後には私がその魂をひっ捕まえないといけない。そうしないと、普通に始祖の龍と対峙して戦ってるわけだから、あいつに食われてしまうだろう。横からかっさらうことになるわけだから、もしかしから始祖の龍はめっちゃ怒るかもしれない。
でもその矛先は現宇宙の残ってる場所に向けるしかないだろう。だって私は新生宇宙にいるんだからね。
ドラグは自身のすべてを賭して戦った。あいまいな自身の体を最大限に活用してたといっていい。その姿を様々な武器に変容させて攻撃してたし、始祖の龍の攻撃だって、あいまいな体を利用して避けてた。
巨大な剣、大きな鎌、ロマンのドリル。さらには微粒子となっての見えない攻撃とかさ……それこそ様々にやった。知らず知らずに体内から壊される……というのは普通なら防ぎようがないはずだ。
でもそれはどうやら効果なかったみたいだ。そもそもが自ら始祖の龍の体の入るのは食われに行くようなものみたいだ。
だから体内からの攻撃は早々に諦めた。けどだからって、現宇宙の力を使っての攻撃は……始祖の龍には効果がない。
いくらドラグが己のすべてをかけて戦ったとしても……「この一撃にすべてを込める!!」――とか主人公張りに見開きで決めたとしても、それで都合のいいの物語よろしく始祖の龍に攻撃が通る……なんてことはない。
残酷だけど、それが現実なんだ。




