Σ73
ゼウスを燃やす二つの炎。一つは赤くて一つは黒い。多分赤いのは黒い炎がダメージを与えた所が爆発して燃えだしたんだろう。これも問題だけど、一刻も早くどうにかしないと行けないのは黒い炎の方だ。これは不味い……そう不味いんだ。私はマントを駆使してゼウスの近くまで駆け上がってく。具体的にはマントで空中を叩いて多段ジャンプする感じで上がってる。
どうやら空気の層みたいなのをマントは叩いてるみたいな? そこら辺は理解してない。けど今はやれる事が大事なのであって、そこに疑問を挟んでる場合じゃないんだ。早くしないとゼウスにいる皆が燃え尽きてしまう。黒い炎がまだ外側だけを燃やしてる所を祈ろう。てか……
「鉄血種……」
ゼウスを見下げる様に鉄血種の姿が見える。しかも今までの若い見た目の奴じゃない。オジサンと呼べる感じの見た目の鉄血種だ。濃い金髪の短髪に鼻の下には髭が綺麗に整えられてる渋い感じのオジサンだ。私はそいつをちらっと見る。そいつも私をちらっと見たと思う。けど、奴は動かない。それなら……と私はゼウスの方に集中する。
「さっきの鉄血種の口ぶりからするに、このマントなら黒い炎をどうにか出来る様な感じだったけど……」
私はゼウスに取り付く。赤い炎のせいで熱い。気づいたけど、どうやら黒い炎には熱はないみたいだ。余計に不気味だね。
「中の皆さんは大丈夫ですか? 応答してください」
私は通信機で中の人達に呼びかける。何度か呼びかけると声が帰ってきた。
『大丈夫です。なんとかまだ。ですが後方から黒い炎が迫ってます。あれをどうにかしないと逃げ場がありません』
「了解です。なんとか出来るかやってみます」
私は再びちらっと鉄血種を見る。向こうはこっちをガン見してるけど、邪魔はする気はないよう。けどああいう冷静な奴の方がなんか怖い。何考えてるかわかんないし……けど今は黒い炎だ。私はマントを大きく広げて黒い炎を覆う。どうやらこのマントには燃え移らないみたいだ。私はバシバシと黒い炎を叩く。けどどうやらこれでは消えないみたいだ。一体どうすれば……
「異空間を使え」
「え?」
私は視線を上へと向ける。渋いオジサン鉄血種がアドバイスくれた。いやいや……どういうことよ? これアンタがやったんじゃなの? それなのに私にアドバイスって何を考えてるの?
「やってみろ。でないと仲間が死ぬぞ」
「…………」
けど、やらないわけには行かない。だってそうしないと皆死ぬのは確実だ。この船が落ちて死ぬか……それとも黒い炎に焼かれて死ぬか……
(いや、待てよ)
このマントの異空間に皆を収納してしまえば助けれない? でもこの船がこのまま燃え尽きのは困るか。最悪助ける時にはそうしよう。この黒い炎への対処方は知ってて損はないだろうしね。異空間を使えって異空間に送ればいいのかな? とりあえず包んだ炎を異空間へと送る。黒い炎が消えてポッカリと空いた穴だけがみえる。これって送った黒い炎はどうなったんだろうか?
空中に出してみる。けど炎が出る事はなかった。つまりは収納された訳じゃない? よくわからないが、これで黒い炎を消した後に皆を収納しても無事だとわかった。私は黒い炎を消していく。そして外側の炎を消して、今度は中へ。中の黒い炎も消す。けど普通に燃えてるのはどうする事も出来ない。魔法も今は使えないし……
「黒い炎は除去しました」
『ありがとう御座います。これで多分消火装置が働く筈です』
「脱出は?」
『コントロールは取り戻せてます。なんとかやってみます』
どうやら、このままゼウスを着陸させるみたい。この街の外には出れないから、広場か大通りを目指すんだろう。消火装置が作動して炎の危険は去った。けど私には別の危険が迫ってる。なぜなら、この船の中に例の鉄血種が入ってきてるからだ。
なんと別の小説の話しをペーストしてました! 乗せ直したんで。ごめんなさい。




