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「ウサギっ子に変なちょっかいは出さないで。そもそも、そんな事をやってる場合じゃないでしょう。始祖の龍がすぐにここにやってくるわ」
私は龍の形態でそういった。あれで始祖の龍が私たちを諦めたとでも思った? そんな訳ない。私たちは上手くこの宇宙に逃げ込んだだけだ。始祖の龍は一瞬見失ったかもしれないが、今の現宇宙で一番近いのやはりここだ。だから絶対にやってくる。なにせ……だ。辺境の宇宙は大体既に始祖の龍が食い荒らしてしまった。残ってるのは私のこの宇宙だけだ。
もしかしたらまだ無事なのがある可能性もあるかもだけど……まあ辺境の宇宙が生き延びてたとしてもそんなのは誤差だよね。この私の宇宙程に小さな宇宙はないだろうし……あったとしても、小さな宇宙の神なんてたかが知れてるのだ。私が例外なだけでね。宇宙の広さとその宇宙に内包してる星の数が神の強さなんだ。つまりは広くて多い方が強い。
それが神の常識だ。実際こんな辺境のちっぽけな宇宙なんて見逃して中央目指してくれたら、一息付けるんだけどね。今やほぼ辺境宇宙という外縁にあっただろう宇宙がなくなってるから、私の宇宙はある意味で現宇宙から孤立してる……ともいえる。だって周囲の宇宙が食いつくされたという事は、辺境は今や無の空間になってると思われる。この私の宇宙と中位の神たちがいるであろう宇宙は確実にめっちゃ離れてたわけで……その間にあったのが辺境の宇宙たちだ。
それがなくなった今、私の宇宙や他の宇宙が伸びてきてくっつくのか? と言えば……そんな訳ないだろう。つまりは私の宇宙は孤立状態にある……と言える。ここからでも私は移動できるが……無では神がどうなるのかよくわかんない。それに龍もね。アクトパラスとゼンマイは実際この際、どうでもいいというか? なんだけど……ヴァラヴァレレイドにルドルヴルヴにドラグにうさぎっ子……その者たちは見捨てるなんてできない。まあルドルヴルヴは仲間? 的な感じではあるが……今やこの現宇宙にとっては貴重な古龍なのだ。戦力の低下を危惧する意味でも、ルドルヴルヴには生きててもらわないと困る。
(私も、それにうさぎっ子もいるし、最悪新生宇宙に全員を飛ばす事は出来るけど……)
ハッキリ言って新生宇宙にアクトパラスとゼンマイは連れていきてたくないんだよね。でもなまじ知り合いだし? 一応神になれたのはその二人のおかげだし? ちょっとは恩を……
(いや、すでに返してるな)
私はそう思った。これ以上、この二人に私が負い目を感じる必要って考えたらない。だって私のお陰でズラララバライトがきて、辺境なのに突出できた。なにせ古龍が守ってる宇宙に侵略しに来る馬鹿な神はいないからだ。その恩恵はアクトパラスもゼンマイも受けてた。
そして私は聖杯を二人に渡してた。実際稼働してたのか? は知らないが、でもそれは私の減点にはならない。むしろ聖杯というとんでもアイテムを与える事ができたのは私がいたから。
それらを加味すると……私はもう二人に恩を返してるといえないだろうか? うん、いえる!




