&421
なんとか始祖の龍と相対しなくていい方法……を私は考えてた。でも……ね。実際、それは無理そうだ。だって始祖に対抗できるのはやっぱり始祖しかない。そうなると、『私』全ての宇宙で一番の女神である私事「ラーゼ」――しかいないのだ。
いやー困ったな。確かに私は全宇宙一である。それは始祖だし間違いない。私は揺るぎない頂点にたった……といって過言じゃないだろう。でもそれは美の方面であって、力というか? 戦いでは一番ではない。
そもそもそんなの私は目指してないし? 私という下肢づかれる存在は自分から出向いて戦う……なんてのは似合わないのだ。戦乙女? 確かにそれが美しい……というのも認めよう。
華奢な女の子がどでかい武器を振り回すのにロマンを感じる……というのもわかる。でもそれは私のイメージじゃないっていうか? 私は王道を大切にしたいタイプだ。私の一番最初の美少女のイメージというのは、女の子らしくて、控えめで大人しく、けど凛としつつ、本を静かに読むような……さ。
そんなイメージである。私に本を読むイメージはない? 確かに私は本を読むと眠くなるが……ポーズとして私には本は良く合うんだよ? ホントだよ。
まあけど、そんなことを言ってる場合じゃないか。でも無策で始祖の龍の前に出ることはできない。何重もの安全対策は必要だろう。そもそもが私のホームは新生宇宙であって、現宇宙は始祖の龍のホームだ。始祖のホームで戦うなんてそもそもがどうにかしてる。おなじ始祖だからこそ私はそう思う。
だって私だって自分の新生宇宙なら負けないから!! 大抵のやつにはね。それこそ古龍とかにだって新生宇宙では負けない自信がある。でも始祖は……始祖の龍だけは流石に私のホームである新生宇宙でも負ける可能性はある。
始祖としての強さ……それがかけ離れてるのはわかってるからね。そんな私が始祖の龍のホームである現宇宙で始祖と戦う? はっきりいって「絶対に嫌」だ。だって勝てないし? でも……やるしかない。そうしないとヴァラヴァレレイドもルドルヴルヴも死ぬ。これ以上戦力がいなくなったら本当に逆転の目がなくなる。
だから勝てないけど……いくしかない。
「はぁやだな」
勝てない戦いなんて私は絶対にやらない主義なんだけど……ね。とりあえずインパクトは大事だろう。
「プギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
私は現宇宙に降臨した。ピンクの美しい龍の姿でね。




