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どうやら白い古龍は無で永遠を過ごす気みたい。確かに無ならほぼ終わりがないような古龍やら始祖も受け入れることができるかもしれない。
でもそこには娯楽なんてのは当然ない。永遠を生きることができる古龍と始祖。それなのに何もない……本当に何もない無でこれからをずっと過ごしていくなんて地獄でしかないだろう。やっとで目覚めた始祖の龍だ。
これから現宇宙を蹂躙する事を楽しみにしてただろう始祖の龍が再びこんな何もない場所に押し込められて大人しくしてるか? というともちろんだけどそんなわけはない。
ゴゴゴゴゴゴゴ――
そんなマンガの擬音でしか感じたことない様な、そんな恐ろしい力の波動……それが始祖の龍から漏れ出てる。そして大きく成った始祖の龍は大きな声をだした。
白い古龍に向かって叫んだというのはわかる。既に山と象くらいの大きさの差がある二人。白い古龍はその叫びだけで吹き飛んだ。けど……
「消えた?」
白い古龍は吹き飛びつつ、スウーとその体を消した。私は色々と力を張り巡らせて白い古龍を見つけようとおもったけど、わからない。どうやらかなりあの白い古龍は潜伏力が高いらしい。あの無から自分だけ出る……とかしてたら現宇宙に帰ってきてるだろうし、その様子はない。
ならばあの無の内部にいるはずだけど、私でも見つける事はできない。
「逃げ続ける気?」
その選択を白い古龍は取ったんだと思った。きっとこの無を脱出するにはあの白い古龍が必要なんだろう。あの古龍しかあそこからの脱出方法をしらないのだ。
だから白い古龍は逃げて逃げて逃げまくって、その内殺されるとしても、それでもきっとこの無に始祖の龍を捕え続ける気なんだと思う。
「けど、それは……」
甘いと言わざる得ない。始祖の龍とあの白い古龍はきっと古の時代にはあってるはずだよね? 今の神達は始祖の龍と面識なんて無い筈だ。それはゼーファスだってそう。
けど、残ってる古龍たちの中には始祖の龍と会ったことがある奴だっているはず。そしてこの白い古龍だって、私はその内の一人だと思ってる。
なのに……だよ? なのに無に入れたくらいでどうにかなると思ってるのは甘すぎるよね? そもそもが始祖の龍が白い古龍を追うかどうかも問題だし?
『始祖ならばきっと』
そうズラララバライトはいう。全てをズラララバライトは言ってない。けど……なんと言おうとしてるのか、私にだってわかる。そう始祖の龍ならきっと、煩わしい追いかけっこなんてしない。
それだけ楽しみがあるのなら始祖の龍も付き合うかもしれないが、こんな無よりも現宇宙の方が始祖の龍的に『楽しみ』は多いだろう。
だからきっと帰ることを優先する。事実、始祖の龍はとんでもない力を口の中に集めてた。