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「このままじゃ……やばいよね」
『……元から厳しい戦いじゃ』
私の言葉にゼーファスがそう答えた。いやわかってたことだよそれは……でもこの状況はとても良くないことのように思える。だってだよ? だって強い奴らが分散して当たることで、各個撃破されてる状況である。
いやお前らもっと早くこいよ――って私は言いたいよ。なんでゼーファスがやられるまで見てた? 特にこの白い古龍……多分こいつが一番ゼーファスと関わり深いというのはこれまでの言動を見てる限り間違いないはずだ。
なのにゼーファスと始祖の龍の戦いに参戦してない。一体何をやってたんだよ!? ってことだよ。こいつがいたらさ、まだどうにかなったかもしれない。いや怪しいけどさ。なにせ相手は始祖の龍だからね。古龍が一体……いや、ここには四体いる。四体の古龍がいたら流石にちょっとは状況はもっと好転してたかもしれない。いくら有象無象の神がいるよりも一体の古龍の方が強いだろうしさ。
まあでも古龍たちはわかってるんだよね。自分たちでは始祖の龍には勝てないと……だから消極的なのもわかる。そもそもが古龍……いや龍を生み出したのが始祖だからね。
『それで策は? まさか無策で突っこむ気ではないですよね?』
ヴァラヴァレレイドは古龍たちにそう尋ねる。確かにそうだよね。これで無策で突っ込むなんて流石に古龍ともあろう者たちがそんなバカ……ではないと思ってる。なにか策があるんだよね!? とヴァラヴァレレイドは訪ねてる。
『ついてきなさい。私を信じて』
おい……だよ。白い古龍はそれだけ言いやがった。流石に無理くない。確かに私の……全く違う宇宙の力をまとってるよ? でもだからってそれだけが策じゃないよね? そうだと言ってほしい。きっとヴァラヴァレレイドだってそう思ってる。私は新生宇宙にいるからさ、まあ最悪こいつらが失敗したとしても安全ではある。
けどヴァラヴァレレイドはそうじゃないからね。むしろ何の策もないのならここは逃げてさらなる戦力を集ってもう一度挑むほうがよくないか? とか思ってると思う。実際一番最初に始祖の龍と戦ったヴァラヴァレレイドが何を……と白い龍とか双子龍とかは思ってるかもしれない。
でもそもそもがヴァラヴァレレイドだって死ぬつもりで……いや死のリスクはもちろん承知だった思う。でも進んで死ぬ気だったわけじゃない。それは確実だ。でも……今もう一度なんの策もなく始祖の龍の前に戻る? 実際今回逃げられたのはゼーファスが犠牲になったから……という側面だってあるだろう。
それなのにもう一度始祖の龍のところにいって、そして今度はここにいる古龍がもしも全部やられたら? それを考えるとなんの策もないなんて……と思うのは当然だ。けど、ここは龍道で……そしてヴァラヴァレレイドよりも白い古龍の方が格は高い。だから、出口を作るのも出来たみたいだ。
『行きますよ』
そういってさっさと古龍たちは龍道の外へと行ってしまった。




