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『皆……宇宙を頼む……』
そんな事を告げて、満足気に消えようとしてるゼーファス。でもどうやら、始祖の龍はそんな英雄視されるような、そんな消え方は許してくれないらしい。ゼーファスの白い力が宇宙に広がった。それはゼーファスの最後を彩るのにふさわしい、そんなキレイな光だった。
実際ゼーファスの連れてきてた神たちはそんな光を見て、感動をしてただろう。もしも、もしもこれで始祖の龍が健在でも、その意思を引きついで最後まで始祖の龍と戦い抜く……その気持を固めたかもしれない。
彼らではどうしようもない……それは何も変わってない。もしかしたらこの最後のゼーファスの光。それが全ての神へ祝福を残す……なんていうとんでもないことをやってくれる……という奇跡は起きてない。
ゼーファスは最古の神だし、その力だって別格だったはずだ。そのくらいしてくれてもおかしくない存在……だったと思う。でも……流石にそんな事は無理か。自分たちの宇宙ではなく、こんな辺境で散ることになったしね。もしかしたら自分の宇宙には色々とギミックというか? トラップを仕込んでたのかもしれない。
なにせ自分の宇宙ならなんだってできる。どんな方針で宇宙を運営してても、基本他の神が口出しするなんてことはないからね。色々と、想定外がゼーファス的には続いたんだろう。
だから用意してた第二案第三案……どこまで案を用意してたのか私は知らないが、それらはほとんど使われなかったのではないだろうか? 無念だろう。でも……思いっきりやったとは思う。
始祖の龍に怯えてたゼーファス。けど最後はその魂の全てをぶつけて散っていった。それは見事なのかもしれない。無念もあっただろうけど、最後はそれこそ最古の神としての矜持を見せてたと思う。
だから後は後輩たちに託す……それは有終の美。私だってそれくらいわかる。でもそれでも、まだ早い……と思ってた。だからどうにかしてゼーファスを救う術を考えてた。でもどうやら、ご褒美を考えてたのは私だけではなかったらしい。
それこそ、攻撃を受けてた始祖の龍もご褒美を考えてたのだ。自分を楽しませてくれた存在だから……なのだろうか? 白い光を飲み込むように、始祖の龍の凶悪な力が一気に広がる。
それもこれまでの非じゃないほどの濃度だ。それだけで宇宙が別の物質へと溶けていくような……そんな凶悪な殺意。明確にそれは脆弱な魂だけとなったゼーファスに向けられてる。




