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実際ここでヴァラヴァレレイドがゼーファスに参戦したところで始祖の龍を倒せるか? というとどうなんだろうか? いける……か? 私はちらっと近くのズラララバライトをみる。
『難しいだろうな。なにせ始祖の龍の底はみえてない』
それはそうだね。ズラララバライトの言うとおりだ。実際、既にゼーファスの底は見えてしまってる。だってこれがゼーファスの切り札だ。本当なら、パートナーとなったアーミュラにも協力してもらって、もっともっと始祖の龍を追い詰められたはずだ。
いや、ゼーファスはその予定だったんだろう。この切り札だけでは弱いと……不完全だと、ゼーファスだってわかってた。だから本当はここで切る予定はなかったんじゃない? でも切るしかなかった。
だって全然相手になってなかったから、相手になってたのはヴァラヴァレレイドだけだった。他の神とかの攻撃は全く持って無意味だったといっていい。だからこそゼーファスは切り札を切るしかなかった。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
更に一撃加えるゼーファス。太陽よりも強い光が円のように宇宙を走る。魂が震えるような……そんな一撃だ。でも更にゼーファスは小さくなる。まだ全然おおきいけど……このままでは始祖の龍の底をさらけ出す事は出来ないだろう。
どこかで冷静にゼーファスも考えてるかもしれない。たとえ儂が無理でも……この行動が誰かに伝われば……とかさ、そんな事思ってそうだよね。
「やるんなら最後まで責任を持ってもらいたいよね」
私はそう呟く。とりあえずエネルギーはヴァラヴァレレイドに送るけど、それでゼーファスが死ぬのを受けいれたわけじゃない。てか、単純に困る。でも……だからって簡単に私の始祖の力を与える……なんて事はできない。
だってゼーファスは完全にあっちがわ……現宇宙の存在だ。私の新生宇宙のエネルギーを受け取れる器ではない。ならば死んだ後に魂を引き抜く? いや駄目だ。私は別にゼーファスを好きでも嫌いでもない。
いうなれば普通だ。知り合い程度の近所の爺さんみたいな? そんな位置だし、そんなやつをわざわざ新生宇宙に招く……なんてしたくない。私はそこら辺シビアだから。それにゼーファスだって嫌だろう。なにせあいつがあんなに頑張って戦ってるのは、ゼーファスにとって現宇宙が大切だからだ。
誰よりも長い年月をいたんだ。それこそたくさんの思いがあるだろう。それなのに気づいたら別の宇宙の存在になってた……となって、それで感謝される? むしろ恨まれそうじゃん。
そもそも新生宇宙の存在になったら戻る事は不可能だ。私は一応両方の力を持ってるが、それは私が始祖だからである。ズラララバライトは既に完全に新生宇宙の魂だし、ヴァラヴァレレイドは……別にあいつが私の力を使ってるわけじゃない。私がただヴァラヴァレレイドの攻撃に「乗せてる」だけだ。
つまりは私は感謝もされないようなことはしたくないってこと。でも……ここでゼーファスが退場するのはちょっと時期尚早なんじゃないか? っても思ってる。どうしようか?




