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「これは……」
私は力を通してヴァラヴァレレイドの状態を確認する。アホみたいに再生能力が高い龍である。けど、その再生能力が今は仇になってるような?
『これは……呪いか。とんでもないの……強力な呪じゃ』
私とともにヴァラヴァレレイドのことを診てたズラララバライトがそんなことをいう。呪いか……これがヴァラヴァレレイドの傷が再生しない理由みたい。きっと始祖の龍はそれに関しては別に関心なんてないと思われる。
これは結果が呪いとなって現れてるだけで、これを始祖の龍が意図してやった……とは思えないからだ。なぜか? って、こうやって考えたようなことを始祖の龍がやるとは思えないからだ。
あいつはきっとこれが呪いなんてわかってない。
「なんか回復しないじゃないか! ならこのままくってやろー」
――とかくらいにしか思ってないと思われる。でもそんな適当でも、これは事象が始祖であるあいつにとって都合のいいように働く……ということなのかもしれない。普通なら、世界のルールというか? 許容範囲というか? そんなのが結果を抑制することはあるだろう。
だって神でも龍でも竜でも……その力はどいつも簡単に星を壊すくらいはできる。極まった神や龍……それこそ上位の神や古龍とかは宇宙を壊すほどの力をもってるだろう。
でも、そんな事にはならないよね。理性がそうさせないし、結果というのはある程度、世界の、宇宙の範囲に収まるのが大体だと思う。でも……始祖の龍はそんなのに当てはまらないのだろう。
この呪いはまだ軽いほうだ。始祖の龍が起こした結果……それがあいつにとって都合のいいように働くのが本当なら……かすり傷すら許されないしね。そもそも始祖なら運命とか、結果までその気になれば確定できそうな気がする。ようは始祖の龍が「当たれ」と思えば、その結果は確定するのではないか? ということだ。
今、なんとかヴァラヴァレレイドが耐えられてるのは、きっと始祖の龍がそこら辺考えてないからだと思われる。もしもめっちゃ避けまくって始祖の龍が少しでも「当たれ」と思ったら、運命はそういう風に……始祖の龍が望むように結果を作り出すかもしれない。だってあそこは……あの宇宙はそもそもが始祖の龍が作り出した世界だからだ。
いうなれば生みの親……だからこそ、宇宙はきっと始祖の龍に忖度する。
「宇宙が始祖の龍に配慮してるのなら、いつまでもヴァラヴァレレイドに避けさせ続けるのはまずいかも。始祖の龍には何も考えずに戦ってくれるのが望ましい」
『その方が操りやすい……か』
私はコクリと頷く。とりあえず呪いを解除しつつ、私達はそんなことを話し合ってる。




