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その日、宇宙に激震が走った。宇宙の数えきれないほどの星、その中の生命体は普段は宇宙の変化になんて気づくなんてことはない。だって目の前の脅威の方がよっぽど身近だからだ。野生動物なら、今日を生き延びる食料をどうにかするかが一番大切なことだろう。
知的な生命体だって、人間関係や夢や社会……そんなものに日々追われてる。だから宇宙を気にしてる存在なんてそんな職業についてるひとだけだろう。けどその日……その瞬間、全ての生命体はトランス状態にはいった。
肉体から魂が引っ張られる感覚。そして、根源からもたらせる恐怖。その日、宇宙の全てが停止した。そしてそんな宇宙の中心……それらを起こした全ての原因。
そこから紫色の神々しい光が一柱上がっていた。
ガタン――椅子を倒して立ちあがったが、その瞬間、頭に叩きつけられる強烈な悪意と恐怖……それによってふらついた。
「なんという……なんという……」
それをいう事しか儂にはできない。間違いない。これは……
「ゼーファス様! 報告が!! 始祖が! 始祖の龍が――」
次の瞬間、報告をしにやってきた神が白目をむいて倒れた。始祖の龍の波動に耐えられなかったのだろう。中位、下位の神はこれだけでまずい。間違いない。始祖の龍は今……この瞬間に復活を遂げた。間違いない。
確かにもう古龍様達の封印もなくなってたも同然だった。いつ、復活してもおかしくなかった。だが今……とは。この恐怖……そして威圧……きっと宇宙全土を包んでる。ここまで聞こえる始祖の龍の咆哮。それは歓喜なのか、それとも宣戦布告なのか……儂の宇宙が中心に一番近い。きちんと確かめないといけないだろう。始祖の龍がどこに向かうか……どういう風に動くか。それにきちんとこの目で見ないといけない。
それはきっと神の頂点である儂の役目だろう。大丈夫、戦うつもりはない。今ではない。今やっても勝てる見込みはないだろう。
「ふん!」
私は両手を合わせて力を発する。それによって私の宇宙全体に自身の力を生き渡らる。そして石柱にためて来た装置が起動して、始祖の影響を追い払う。これまでこの時の為に準備をし続けてきた。なんの対策もしてない訳はないだろう。




