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『ふむ、あれだけの魂……よく輪廻から切り離すことが出来たな』
「まあそこは私だし?」
『始祖の力とはかくも理解できぬな。お主がいとも簡単にそれをなすのじゃから』
「なにそれ? 嫌味?」
ズラララバライトの奴の言葉がなんかささってくるんですけど? 今の言葉には『お前に出来るなんて』――というニュアンスも含まれてるよね? 絶対に含まれてるよ。まあ実際、一つ二つの魂じゃないからね。ズラララバライトは古龍という特段大きな魂だったけど、それでも一つ。一つだった。けど今回やったのは星一つ……しかも様々な命が生きてた星の魂をごっそりと輪廻から強奪したんだからね。強奪……いやまあ、本当にこれはそうなんだよね。
現宇宙で生まれた命だからね。命と信仰が神の力となる。つまりは私は力になるべき命を奪ったことになるからね。
『いやいや、殺してたじゃん』
――といいたいのもわかる。けど、神にとって生命体の死……はどうでもいいのだ。むしろ地球に攻めてきてた神達にとっては殺すのは当然の処置だといえる。なぜか? それは全宇宙……現宇宙のくくりでの宇宙全体で輪廻は共有してるからだ。私のこの新生宇宙の輪廻と現宇宙の輪廻は切り離されてるが、現宇宙では神が管理する宇宙が違っても、輪廻は共通してる。まあ世界樹とかがあれば、その魂も簡易的な輪廻を世界樹が担う事で、管理することが出来るけどね。
でもいつまでも同じ宇宙……同じ世界に生まれなおすのは魂の成長に弊害があるようだ。だから世界樹がある世界でも、その世界で輪廻を繰り返した魂は大本の宇宙共通の輪廻へと送るようになってるらしい。まあつまりは地球を攻めてきた神達は地球の生命体を全部殺して、輪廻に戻すことで、その魂が自分たちの宇宙の方で生まれなおさせたかったのだろう。だって命が増える事は単純にうれしいからね。でも、そんな期待は夢に終わった。
なぜか……だって私が地球の魂をすべて新生宇宙へと送ってしまったからだ。本来なら大本の輪廻をどうにかする……というのは神にも難しいことらしい。上位の中でも「死の神」と呼ばれてる神なら出来るかも……と言う位だ。でも私は出来てしまった。まあ実際はそんな難しいことでもなかったけどね。私はただ魂を誘導して、道を作っただけだ。輪廻に戻る魂たちに別の道を示した。きっと地球の魂たちは輪廻に戻ったと思っただろう。いや、そんな意識さえないだろうけどさ……でも、そうだね。私は現宇宙から億、兆を超える魂を奪った。
けどきっと誰も気づいてない筈。だって神達にだってこの新生宇宙は観測できないんだからね。まあもしかしたら、始祖は……始祖の龍はわかってるかもしれないけど。でもきっと気にしないでしょう? そんな奴じゃないと思う。しらんけど。