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「どうして……こうなったのだ」
宇宙は混乱してる。アーミュラ神がいなくなったことで辺境は更に混乱を増した。もう上位の神である我が少しばかり関与しても止まらない争いになってる。ある程度辺境がまとまってたのはアーミュラ神の尽力があった。でもそれも一部の彼女を疎んでいた神達によって、彼女の宇宙は荒らされて無残にも切り取られていった。
そしてそこから更に野心をもった辺境の神達が争いだしてる。それに辺境の竜たちも今は更に好戦的になっておる。一時的にでも与えられた餌によって膨れた腹。それを知ってしまってはもう我慢なんてできない。
自制心が壊れた竜たちは腹を満たすために色んな所で争ってる。そんな竜の犠牲になる神や星もあれば、そんな竜たちを手懐けようとしてる神も……戦いの機運が辺境ではこれまでないくらいに高まって……そして渦巻いている。もう誰の言葉も辺境の神達はきかないだろう。
もしもこの争いを止めたかったら、それこそ全ての辺境の神や竜たちを一度倒して全てを平定するしかない。それができないか? と言われればきっと儂なら出来るだろう。
その自信はある。だが……今や中央の始祖の龍の復活はいつ起きてもおかしくない。目を離すことは出来ない。わずかだが……ホワイトホールに始祖の気配を儂は感じた。ホワイトホールの消滅も……始祖が影響しててもおかしくない。そんな事ない……と言いたいが、始祖は儂ら神よりも埒外の存在。
この宇宙で一番強く、そして一番自由な存在じゃ。何をやったとしてもおかしくない。だが、まだ……まだ起きてないはず。
(それが間違いなのか?)
そんな事を思えてしまう。まだ始祖の龍は封印されてるまま……その認識が間違ってるのだろうか? 確かめなければいかない。立ち上がり、歩き出そうとする儂の前に皆が立ちはだかる。
どうやらとまってほしいらしい。
「一人で行かないでください。あそこは危険です。もしも始祖の龍が目覚めたら……」
確かにそうなったら儂一人では対処はできない。ただ食われるだけじゃろう。かといって……ここの皆を連れて行ったとしても、それは同じこと。
「どうすればよい? 儂はどう動くべきじゃ?」
皆に問うても、その問いに答える者はだれ一人あらわれない。神も、眷属もいる、とても優秀な者たちなのに、そんな者たちも、何をするべきかわからないのだ。




