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「あなたは……あなたはどうして、この宇宙を壊そうとするの?」
私は眼の前の始祖の龍と思わし存在に問いかける。だって全ての未来はここで潰えてるのだ。このさきに……この始祖の龍の先に私は現れない。それはきっとどの神も一緒だろう。例外が有るとすれば……
始祖の龍を見てると、体を丸めてた始祖の龍がモゾッと動いたように見えた。いや……気の所為じゃない。始祖の龍が目覚める。これが未来を見せてるというのなら、始祖の龍はもう少しで本当に……目覚めるのだろう。ものすごく嫌な感じがまとわりついてくる。本当ならすぐにでも逃げ出したい。けど……体が動かない。
ゆっくりと体を広げて行く始祖の龍。目を開くとその目が炎のように燃えてた。金色の炎が始祖の龍の目のようだ。そして久々に体を起こしたかのように、思いっきり体を広げたと同時に、その咆哮を響かせる。
すると私は存在がぶれた。どういうことなのかというと、魂が不安定になったというか? 体が維持できなくなるような感覚だ。神の体は自身で構築してるものだ。だから力が小さくなるとそのままの姿ではいられなく。
でもそんなことはそうそう起きることはない。でもそのそうそうが起きそうになった。でも別に今は私はダメージを受けたわけでも、力が減ったわけでもない。でもそれでも……魂と身体のつながりが乱れたんだ。魂に響くような始祖の龍の咆哮のせいだろう。
本当におきたわけじゃないだろうに……なんでこんな影響が? てか……眼の前のこの始祖の龍が未来という幻覚なのかどうか、私にはもうわからなくなってきてる。
(始祖の龍って話とか通じるの?)
私はどうしたら良いのかよくわからない。だって別になにかをゼーファス様から言われたわけじゃない。このホワイトホールに入れと……言われただけだ。ここで始祖の龍と邂逅しろなんて言われてないし、ここでパートナーになれともいわれてない。
だから何をどうしたらいいのかよくわからない。
「あっ」
私は嫌な感覚が上限突破した。なぜなら、バチッと始祖の龍と目があったからだ。実際炎が燃えてる始祖の龍の視線はよくわからない。けど、見られた……という感覚は確かにあった。
ここで本当なら格下の自分は挨拶とかして礼を尽くそうと思った。だってどう考えても始祖の龍はやばい。でもどうやら想像以上にやばいやつだった。だって……
次の瞬間にはその口を広げて私を食べようとしてきたのだ。