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「ここは……」
「ここは魂の浄化を行う場所。ホワイトホールじゃ」
そこは宇宙には異質な場所。それはまるで宇宙がねじれてるような……そんな場所だ。ホワイトホールと言ってるが、別に宇宙にいきなり白い場所があるわけじゃない。ただホワイトホールは宇宙自体がねじれてるからなのか、そのねじれの強い部分は沢山集まってる星の光もねじれてるからか、虹色に光輝く渦が走ってる。はっきり言ってかなり綺麗だ。
「ホワイトホール……本当にあったんですね」
「うむ。あまり知られぬようにしておるからな。これを保護するために、この宇宙は儂が管理することにしたのだ」
「それじゃあ、元は違う神がここに?」
「そうだな。凄い奴がおった」
なにやらさみしそうな顔をするゼーファス様。その話題は地雷なのかもしれない。そう思ったから私はその話題は早々に流すことにした。
「どうやってここに入るんですか? てか大丈夫なんですか?」
見た目は特殊でとてもきれいだと思える。こんな宇宙、他にないからだ。でもブラックホールがすべてを吸い込む深淵なのは有名だろう。じゃあその対極の名前がついてるホワイトホールは全てを吐き出すのか? と思うが、でも別にホワイトホールは何かを吐き出してるようにはみえない。でもこのねじれに巻き込まれたらやばい……という本能? が訴えてる。私たちは神だけど、神にだって想定外はある。ブラックホールは結構定期的に起こるが、ホワイトホールは今回始めてみた。
つまりはどういう事になってるのか、私にはまったくわかってない。だからこれに入ったり触れたりして大丈夫なのか……多分ゼーファス様が魂の浄化を行う……とか言ってるから、大丈夫なんだとは思う。
「何も問題はない。だが、螺旋の中、お主は自身を知ることになるじゃろう。まっさらな……本当の自分じゃ。それがどれだけ矮小だとしても、絶望をしないことじゃ。今の自分を忘れてはならぬ」
「……はい」
なんのことやら? であるが、ゼーファス様はとても真剣な面持ちだ。なので私も真剣に受け応える。きっと冗談じゃないのだろう。魂を浄化する場所……ホワイトホールにはそういう特性があると。
「これって簡単にはいれるのですか?」
「いや、普通には入れぬよ。螺旋が永遠を巻き込んでおる。入るには特定の場所しかない。さあ、目を閉じるかがよい」
どうやらゼーファス様の力で案内してくれる……ということらしい。ならば、と私は素直に目を閉じる。信頼できない相手にはそんな無防備な事は出来ないが、ゼーファス様にとって今の私は希望のような存在だ。それは誇張なしでそうなのだ。だから彼が私を裏切る事はない。なので安心して、私はその案内を受け入れる。




