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「にわかには信じられない……」
「そうだね。その気持もわかる。私だってなんで私に? って感じだしね。でも事実だよ。だってその体の中に入れた力……それは新生宇宙の方の私の力、だからね」
そう言われて私は再び自身の中に入れられた力を感じる。それはほんのちょっとなんだけど、今でも私の中で存在感を示してる。塗りつぶせない、不思議な力。
本来なら、こんな小さな力を塗りつぶして消し去るなんてのは簡単なことだ。けど、この力はどんなに小さくても、消すことができない。それがどうしてか? と思ってたけど、もしも本当にこれが全く違う宇宙の力……とするなら、そういうことも起こり得るのかもしれない。
けど、まったく違う宇宙の力がどういうものなのか……実際神であってもわからないことは多い。なのでいくらラーゼちゃんにいわれても「そうなんだ」――と簡単に納得できることじゃない。
「いつもの私を倒すなんてアーミュラなら簡単じゃない? それがこうやってできてないし、今までの私の力とは全く違う。だから別人と思ったんじゃないのかな?」
「それはそうね」
実際、私の知ってるラーゼちゃんの力と今私の背後にいるラーゼちゃんの力は違う。さっきの発言の通り、だから私は別人だと思った。でもまったく違う力を宿す神がいないか? といえば、珍しいがいるにはいる。本当に珍しいけどね。
けどそれでも、宇宙が違う力を宿す……というのではない。自身の内に別種類の力を宿す……みたいな感じだ。つまりは別種の力だけど、それはその神の力で有るのは間違いないし、この宇宙内での力だ。
だから塗りつぶせない……なんてことはない。けどこのラーゼちゃんの力はどうあがいても塗りつぶせない。それが決定的な違い。別宇宙……その新生宇宙の力だから、全く違うからできないと言われればそうなのか……と納得するしかない。
「もしも……もしもラーゼちゃんのいうことがすべて正しくて、その新生宇宙が有るのだとしたら、今の貴女は……始祖ということ?」
「そうだよ」
あっけらかんにそういうラーゼちゃん。もしかしたら始祖だから私の攻撃が通ってない? ゼーファス様も始祖には私達の攻撃は通らないといってた。だからそれをなすために必要なのが始祖を落とすこと。つまりはパートナーを作ることだ。
いや、パートナーを作るのは実際、落ちるよりも上がるはずのことだ。けど、始祖はその特性上? なんか落ちることになるみたい。この宇宙の始祖の龍も攻撃が効かないなら、新生宇宙の始祖となったラーゼちゃんにも攻撃が通らないのは道理なのかもしれない。
「どう? 少しは私側につくきになった?」
新生宇宙に始祖……確かにそのワードは魅力的だ




