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「どうしたの……これ?」
「気づいた?」
「これってそもそもラーゼちゃんの力?」
「流石アーミュラ。よくわかってるね」
褒められた? 私が褒められるなんてね。ラーゼちゃんは下位の神だ。神としての長さだって雲泥の差がある。そんな私がラーゼちゃんに褒められることがあるなんてね。
けど、これに関してはよくわからない。私の分析に満足してるって事かな? それよりも早く答えが欲しい。こんなのどこで見つけて来たのか? 実は手に余ってるから私に押し付けるとか……そんな気? それはとても迷惑なんだけど? しかも既に私の中に押し込まれたし……
「あんまり危険な事はしない方がいいよ。確かに下位の時にしかできない事ってのはあると思うけど、あんまり危険な事をしてると、上の方の神から目を付けられちゃう」
てか私の監督不行きということで私が怒られそうだ。だってそもそもがラーゼちゃんは私の宇宙から出た神。基本的に私が上司ということになる。なんとなく自身の宇宙から出た神はそこの神が面倒をみる……という感じになってるからね。
ラーゼちゃんが何かやったら私が諫めないとといけないんだよ? まあ神と子供は違うから、そうそうの事がないと上の方が神が出てくる……なんてことはない。本当ならラーゼちゃんが自身の力を垂れ流して辺境の治安を著しくわるくした時点で私は出張って叱ってもおかしくなかった。
けどそんな事を私はしてない。寧ろ……あれを利用したが訳だ。使えると思ったし、宇宙は今大変だからここで動くのも悪くないと思ったからだ。つまりは自分にメリットがあった。
けどこれは……使えない力なんていらないわよ?
「そこまで分析したのなら、それが今の宇宙とは全くもって違うってわかるでしょ?」
私の忠告は全く持ってスルーされたみたいだ。けど確かにこの力は、この宇宙とはなんの縁もゆかりもない。それはわかる。
「それは……ね」
じわっと私の中のこの別の『力』それが広がるような感じがある。そしてそれに伴って私の胸に痛みが走る。
「くっ……」
はぁはぁと息が乱れる。痛い……神なら痛みなんて自身で遮断できるはずだけど、これはなぜかできない。痛くて……苦しい。こんな感覚何千? 何万年ぶりだろうか?
まさかこれをやってるのはラーゼちゃん? ならばこの『力』」は……
「これ、貴方の力……なの?」
痛む胸を押さえながら私はそういう。それと同時に、私は自身の力を制御して、彼女の周囲を覆う。いつだって強大な力で彼女を握り潰せるようにだ。返答次第では……そう思ってたけど私の体が震えだす。
それはなぜか……
(彼女は……本当にラーゼちゃん?)
そう思ったからだ。




