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私は早速自身の中に残ってるラーゼちゃんの力。それに意識を向ける。今でもはっきりとわかるそれ。本当ならここまで私の力の中にあったら普通に掻き消えるか、それかちょっとは私の力に染まる……とかしそうなものだ。
けどどうやらそんな事はない。ありえないという風に私の中に流し込まれたラーゼちゃんの力はただ変わらずにそこにある。
(これって、この少なさだから私に影響ないけど……もしもこれが多く流しこまれたら……どうなるの?)
そんな事を考えてしまう。全く染まらない相手の力。それを無理矢理流し込まれたら、別にラーゼちゃんの力じゃなくてもやばいんだけど……ここまで全く染まらない力は珍しい。
確かに力にだって個性はある。魂の影響を色濃く受けるものだ。でも、別の神の力だって、手順をちゃんと踏めば、別の神の力だって利用は出来る。自身の力に寄せる事は出来る。
そういうものの筈だけど、彼女のこの力は……
(まったぐ染めれる気がしない)
とりあえず変な影響を自身に受けないように隔離してるわけだけど……同時に私はこの力をわかろうと努力もする。知ること……理解する事……それはとても大切だ。
「この力、今のラーゼちゃんの力とも違うわよ? どこから持ってきたの? これを利用しようとしてるのなら、危険だからやめなさい」
今のラーゼちゃんの力は、以前よりも減ってるが今まで私が知ってるラーゼちゃんの力だ。それは間違いない。この今、私の中にある力とは全く違う。それは確実。
だから危ないと思った。別の力を使ってたりない力を補おうとするのは、下位の神にはよく見られる試みである。なにせ宇宙はそんなに急には成長しない。じゃあどうするかというと、他の神とタッグを組んだり、新たな龍やら竜との契約だ。でも……それでも……
(ここまで全く違う感じの力なんて……)
恐る恐るという風に、私は自身の中にある力をつつく。それだけで体がゾクゾクするような……いやぞわぞわするような悪寒が私に広がる。
(これは拒否反応? たったこれだけで……まるで全く馴染むことは無いって訴えかけるような……)
私はそんな分析を淡々としてる。いや、これは……でも、そんな事。私はある結論にたどり着こうとしてる。けど、それを頭が拒否してる。だって……そんなのはあり得ないでしょう。
だって、これは……この力はもしかしたら……
(この宇宙にない力。いや、あってはいけない力なんでは?)
ということだ。




