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いつまでも……いつまでもこうやってたい……そう思ってたけど、現実逃避はいつまでもできるものじゃない。それに私達は神だ。神は自由だけど、責任はある。沢山の命を私たちは背負ってる。自身の宇宙に光る沢山の命。
それらをこのまま無為な時間を過ごして見捨てる訳には……いかない。それは私の宇宙に生まれてくれた全ての命への神の責任だろう。
「なるほど……そうきたか」
私は意を決してラーゼちゃんにゼーファス様に言われた事を話してた。今や私は上位へといたり、下位の神のラーゼちゃんに話した所で……ではある。けどラーゼちゃんの所にはズラララバライト様もいたしなにか……とか思ったのかもしれない。
けど今やラーゼちゃんも大変な筈。なにせズラララバライト様も死に、ヴァラヴァレレイド様は……あれ?
「そういえば、なんでヴァラヴァレレイド様は戦ってるの?」
「ああーあれ? むしゃくしゃしてたから?」
苦しいいいわけである。いや、そこらの竜ならそれで通る。なにせ竜とは大体考えなしの脳筋だからだ。気に入らないから……で星を潰したりする奴らはそこそこいる。
でも……流石にヴァラヴァレレイド様に限ってはそれはない。なにせ神龍改32槍である。古龍に次ぐ位置にあるそれらの龍はちゃんと分別を持ってる。頭だって、そこらの神よりも深い知識を持ち合わせてる龍たちだ。
それがむしゃくしゃしてたから上位の神と戦争を起こす? ありえないことだ。今までは慕ってたラーゼちゃんの弔い合戦という名目に納得してたが、ラーゼちゃんはここにいる。生きてるのだ。それを実はヴァラヴァレレイド様は知らない? いや違う。私の見立てでは……
「カモフラージュしてるの?」
「はいはい、すぐに察せられるとつまらないんだけど?」
ぷく―と頬を膨らませるラーゼちゃん。既に私はそんなラーゼちゃんの行動の裏の裏を想像してる。ラーゼちゃんには悪いけど、私はこういう奴なんだよね。
「そう、ヴァラヴァレレイドが暴れてるのはカモフラージュだよ。私が死んだ……いや殺されたのにヴァラヴァレレイドやらズラララバライトが何にも動かなかったらおかしいでしょ?」
「それじゃあズラララバライト様も……」
「いやあいつは死んだよ?」
軽くそういうラーゼちゃん。でも……その言葉に悲壮感はない。それに、力にも揺らぎ一つない。私は色々な要素を見て、嘘を見破れる。これは力というか、私の観察眼のたまものだ。
今の言葉には嘘はないみたい。けど……事実でもない。いや、『本当の事』を言ってないって感じか。嘘であり、本当であり、そして事実ではない……みたいな?
そして私は考えた。どうしてラーゼちゃんがこのタイミングでここにいるのか? たまたま? いやそんなわけない。ラーゼちゃんはきっと……私を待ってた。




