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「私も刈り取られてしまうんですか? 始祖と共に……尊い犠牲になれと?」
私は言いにくいであろう事をズバリという。もう探り探りとするのはやめだ。いろんな事をあいまいにして、それで私を操ろうとなんてしないでほしい。
すべてを開示したうえで、私が選ぶ。それが公平性というものではないだろうか? 実際立場が違うんだ。ゼーファス様なら、私に無理矢理にいう事を聞かせることなんて造作もないだろう。
普段の姿からは想像できないが、彼は全ての神の中で天辺に位置する存在だ。きっと色んな奥の手があるはずだ。その力の全てだって、私には測りえない。だからこそ、私を操ることだって出来るはず。
でもゼーファス様はそれをしようとはしない。できないからじゃない理由があるんだろう。
「犠牲……にはなるべくならないようにする。他に候補はいないのじゃ」
私以外に都合のいい奴はいないのか。では……
「力はつかわないんですか? できるでしょう?」
その言葉に、「ほっほ」とゼーファス様は笑った。声は陽気だが、瞳は鋭く私をみてる。
「それに意味などないよ。儂の力など、始祖の前には雀の涙よ。大海……いやこの大宇宙に対して塵のような物なのだ」
つまりはできるけど、始祖の前ではそんなのは意味はないということか。それに私が始祖のパートナーとなったら、その洗脳とかも意味をなくすから、下手にそんなことをして契約させて逆に反旗を翻されるリスクを取るよりも、ちゃんと自分の意思で……私の意思で契約をさせたいんだろうね。
「魂の容量と強い意思。それに其方は聡明じゃろう? ふさわしいと思った。これは本心じゃよ」
普通に、素直にそんな風にいわれると、反抗しにくい。下手に嘘をつかれるよりも、真摯に来れられる方が心にはくるものだ。
「少し、考えさせてください」
私はそういってゼーファス様との話し合いを取りやめた。だって流石に……その場で即決できるような内容じゃない。でも最後にひとつだけ聞きたいことがあった。とても大切な事だ。
「ちなみにですけど、私がパートナーにならない場合どうやって始祖を? その場合の勝率は?」
「パートナーを用意できないとなると、始祖はなんの枷もなく復活することになるであろう。その場合は……我らがどれだけ力を合わせようと、始祖に攻撃を与えることは出来ぬよ。勝率は……ゼロじゃな」
こともなげなように、ゼーファス様はそういった。重い、重すぎる。




