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「余裕ですか?」
「うむ……儂ら往年の上位の神は、既に魂の階位が上がり切っておる。我らの魂にはもう余裕はないのだ。きっとどの上位の神もそうだろう。
だが、お主はまだ上位になったばかりじゃ。魂にも余裕があるじゃろう」
なるほど……下位と中位、そして上位の神には明確な違いがある。それは内包し得るエネルギーの総量だ。たまに下位でも中位クラスのエネルギーを内包した神は出てくる。ラーゼちゃんとかはそのパターンだっただろう。
でも基本、下位の魂の容量には上限があって、それは中位でもそうだ。だからこそ、魂の階位を上げることでその上限を突破して、魂の内包できるエネルギー総量を上げることで、さらなる高みへと神は至れる。
なにせ神はエネルギーの集合体だ。それも規格外のね。だからこそ内包できるエネルギーが上がるというのはとても重大な事だ。
「でも私では始祖のパートナーになんて……ふさわしいとは思いませんけど?」
とりあえず無難な返答をしておく。だって……ね。これはほぼ生贄……みたいなものだ。確かに条件に合致した神は私しかいないのかもしれない。
貧乏くじを引いたと思うが、ゼーファス様は無理矢理にいう事を聞かせてくるようなそんな横暴な神ではない。そもそも女体に弱いし。
少し瞳を潤ませて、谷間を見せればそれで……
(いや、確かラーゼちゃんがゼーファス様は脚フェチかもしれないといってたな)
じろじろと見てたと……ならば脚か?
「あれにふさわしい存在などおらぬ。あれはただ生み出して、そして刈り取る存在じゃ。だから気負う必要などないよ」
そういうゼーファス様はただじっと始祖を見てる。私の潤んだ瞳も、そして谷間も見ることはない。やっぱり脚か? いや、きっと違う。今はゼーファス様は真面目モードだ。
そこはこの宇宙を背負ってると自覚してる最上級の神。この場面で色仕掛けはどうやらききそうにない……と思った。諦めるしかないのかな?
この宇宙の為の犠牲になるしかない? いや……だ。ただ犠牲になるなんてできない。それは絶対だ。
そもそも私が犠牲になると私の宇宙の子供たちはどうなる? 私の眷属たちは? 私はちゃんと自分の宇宙に、そして魂達を愛してる。
だからこそ、宇宙を守ろうと思うんだ。神の中には自身の宇宙の存在達をただのエネルギーとしか認識してない神達も多いが、私は違う。
私は私の子供たちが可愛いから、ちゃんとした愛で行動してる。そして自分の物を誰かに託すことも、渡すことも考えてない。そしていなくなることも……