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「もしかしてですけど、始祖のパートナーを番えることが、絶望的な今の状況のたった一つの希望ですか?」
私は考えてた事を口に出していた。ゼーファス様は沢山の神を先導し、残った古龍たちを抱き込んで始祖との強硬的な戦いを訴えてる。
でも実はそれがどれだけ絶望的な事か、彼自身はわかってる。いや、多分古龍とかから聞いてるのんじゃないだろうか? 沢山の仲間を作る傍ら、わずかな希望を探していた。それが始祖にパートナーをつける事。
確かに神と龍・竜はパートナーを結ぶ。低位な神だとその関係性は大体一方的なものだ。でも上位ともなると、その関係性は文字通りの関係性になる。
いや下位の頃の関係が変わらない神と龍もいるかもしれないが、最初のただの押し売り化の様な関係性から、かけがえのないものへと……ね。
まあその過程で、捨てられる竜は結構いる。確かに最初は竜の方が立場的に上だ。なにせ竜は生物として最強だ。生まれながらにしてそこらの神よりも強かったりする。
だから下位のままでは竜にだって強くは出れない。でも、宇宙が成長すると、神だって成長する。
「それは竜だって同じだろう?」
と思うだろう。確かに同じではある。でも大抵の竜は脳筋だ。それにいつまでもただ神を見下してる竜は強大なエネルギーをバカスカ食うだけの存在になりえる。
せっかく宇宙を育てても竜に取られる。ちゃんと仕事をしてるのならそれでも問題ないだろう。けど、そうじゃなかったら、神の反乱はよく起こるものだ。
それでほっぽり出される竜は多い。そして今度は神はちゃんとしたパートナーを求めるっていうね。竜との関係なんていらないじゃないか? と思うかもしれないが、竜や龍がいない宇宙は野良の竜共が次から次とやってくる。それはダメなんだ。
だから結局パートナーは必要になる。次はちゃんと気の合う、そして大体はまともな竜を選ぶのだ。
「でも、パートナーになるといっても、それで始祖をどうにかできるのですか?」
それである。確かに神と龍の関係性は尊ぶべきだけど、実際それでパートナーをどうにかできるというと……できない。筈だ。でもゼーファス様は力強く言います。
「大丈夫じゃ。パートナーを作るということは、この宇宙との繋がりが良り強く成るという事じゃ。それは上位の始祖をこちら側に落とすことに繋がるだろう」
ってね。




