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「これは……」
私達は中心の宇宙の……宇宙の中心……そこに来てた。ここが終着なのはわかってた。だって宇宙の危機感を実感させるためにはここが一番だろう。そしてその危機って奴を私は実感してる。思惑通りでしょうね。ゼーファス様の。
宇宙の中心は以前は古龍たちが常に数体いて、中心に封印してある始祖を古龍の力で抑えてた。けど今は……既にもういない。
「古龍たちは?」
私はそういういった。流石に一体もいないとは思わなかった。だって流石に一体とか二体とか、ゼーファス様についてる古龍は残ってると思うでしょう。けど、それすらもいないとは……
「中途半端では意味などない。封印は古龍が揃ってないと意味などないからの。ならば……」
「いる必要がないと……」
ゼーファス様は頷く。この状態はかなりまずいのではないだろうか? 本当にいつ封印がなくなるのか……わかったものじゃない。なにせ誰も維持してないのだ。
トクン、トクン――とそんな鼓動が聞こえる。それはきっと封印されてた始祖の鼓動。前に来たときはそんな音は聞こえなかった。始祖は確実に復活しようとしてる。
始祖が生きてるんだと、実感できてしまう。長い間の封印で、どうにか死んでくれてないかとかいう一縷の望みとかあったと思うけど、流石にないようだ。
神とか龍にも実質寿命なんてほぼ無いようなものなのに、更に宇宙までをも生み出すような始祖が封印されたくらいで死ぬわけはない……か。
てか死なないからこそ、封印した……んだろう。古龍たちは。
「もう、時間がない。わかるであろう?」
ゼーファス様はそんなことを始祖を見ながら言う。あれがこのまま復活したら、この宇宙は終わる。あれはそういう存在だ。そしてそれがいつ解き放たれるか……わからない状態。
「戦って勝てる可能性はそもそもあるんですか?」
古龍たちさえ封印せざるえなかった始祖。ゼーファス様は今、それに対抗するための戦力を集めてる。でもそれにどれだけの意味があるのか知りたかった。
なにせ私にこんなことを頼んでくるのだ……もしかしたらゼーファス様は戦力なんてのがなんの意味もないと、実は思ってるんじゃ……
「始祖に勝てる可能性は限りなく低いの。それは儂らはこの宇宙で生まれた神で、そして始祖はこの宇宙を作った存在じゃからじゃ」
そんな風にいうゼーファス様。存在の違い。明確にゼーファス様は始祖が私達の上に位置する存在だといってる。神よりも、龍よりも上の存在。
それが始祖……全ての始まり。創造の化身。ゼーファス様は多くの神と龍を無駄死にさせようとしてるということだろうか? いやそんな人、神ではこの人はない。




