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「それだけって……これだって大変なのよ」
『お前も最初は同じこといってたがな』
「やーん、おそろいだねうさぎっ子」
「ひっつくな煩わしい」
私は引っ付いてくるラーゼをひっぺがす。てかやっぱりあんたも同じこと言ってるじゃん。ズラララバライト様が教えてくれたけど、よく考えたらこいつと同じ思考だったと思うとちょっとショックではある。
『だが確かにそう思うのは仕方ない。だがの、全く違うのだ。全く違う力……確かに根源はラーゼではある。じゃが、宇宙が違うのは全てが違うのだ。それをわずかでもエネルギーとして変換してる……これは彼らの快挙だよ』
そんな風にズラララバライト様はいう。同じラーゼの力ではあるから、私なんかはなにが違うのか? と思うが、どうやら新生宇宙のラーゼの力と現宇宙のラーゼの力は全く別ものみたいだ。まあそうじゃなかったら、さっきドラグが風船のようになったりはしないだろう。そんなに変わらないのなら、聖杯だってそのまま活用できたはずだ。
でもそうじゃないから、色々と大変だったわけだしね。そんな全くもって違う……それこそ私が簡単に考えるなら、きっと種族とかその位全く違う物なんだろう。獣人のラーゼと人種のラーゼみたいにさ。
(うぐっ……)
獣人のラーゼを想像したら、吐きそうになった。こんな奴と同族になる? 吐き気しか無い。それが例え想像だとしても私の拒否反応は顕著だった。
「これでも前のエネルギーを無駄にするよりはいいでしょ。それに……この雫だって使い道あると思わない?」
「使い道?」
ラーゼは再び装置が変換した新生宇宙の力の雫を手に取る。手に取るとあるが、その小さな手のひらに液体として掬ってるだけだけど……ちょっと油断したらその手からこぼれてしまうだろう。
「はいここにさっきの神がいます!」
そういうと何やら光の檻に入ったサバ折り神が召喚された。ええ? あんたもできるの? 私がここに来れるのはすごいとかいってたくせに……ん?
「これって映像? てかそいつは木っ端微塵にしなかった?」
「再生してあげたよの。それにこれは映像なのはその通り。けどちゃんと影響できるけどね」
そういってラーゼが檻を叩くと「ぎゃあああああああ!?」とサバ折り神が叫ぶ。どこかに保管されてるだろうサバ折り神にも確かに影響あるみたいだ。それに再生? 神を? こいついつの間にそんな事ができるように? とか思ってると、「口を開けなさい」――と命令を下す。さば折り神の口を開けさせて上に向けさせる。そしてラーゼは上にいって、手のひらの水を流し込む。
檻の範囲に触れた瞬間、雫は消えたように見えた。きっと転送されたのだろう。そしてそれはこのさば折り神へと流し込まれた。するとすぐにこいつは苦しみだす。
「あが!? あががががが――」
その腕で身体をかき、体を檻に叩きつけだした。けどそれでも檻は壊れない。そしてついには……体が崩壊していく……これは……
「これが全く違う力の影響よ」
そうドヤ顔でラーゼが言ってる。




