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「アガあああああ!!」
「うさぎっ子! 正気に戻って!!」
そんな声が聞こえたと思ったら顔面に拳が飛んできます。クリーンヒットした拳が私の顔をグシャっと潰して吹き飛ばしました。けどラーゼのやつが壁を後方に造ってたのか、そこに私はぶつかりました。そしてその壁が幾重にも私に重なって自由を奪っていく。特に腕と足回りに術式まで刻んで念入りに私を拘束してく。
私は赤い視界が元に戻っていく過程で周囲を見回す。別に相変わらず何もない場所だ。被害とか……ちょっとラーゼのやつの息が荒くなってるくらい? それならまあ、どうでもいいか……と思った。
「なんで……」
そう、なんでこんなことになってるのか? 私はそう言いたくて言葉を発した。するとラーゼは驚いたのか、「正気に戻った!? 大丈夫? 私の事わかる?」
とか言ってくる。
あんたのことを見間違えるわけがない。もしもこいつが死んで、転生とかしたとしても、私はこいつの魂を追ってでも何度でも殺したいと思ってるから。見間違えるはずが無いのだ。
うん、そう……何度だって殺しいたい。それくらい憎んでるはずだ。だから別に相変わらずアホみたいにきれいで眩しいのよ……とか思ってない。
「ほら、ズラララバライトがいきなりあんな事するからなんだから謝って!」
「す、すまん。だが結果的にはだな」
「結果論なんて聞きません。私だってうさぎっ子を信じてたけど、あのままじゃ、私の可愛いうさぎっ子があんたの魂のせいで変な感じになってるところだったのよ!!」
ズラララバライト様がラーゼに叱られてる。前からラーゼのやつにやけに協力的な古龍だったわけだけど、それでも立場的にはズラララバライト様が上でラーゼのやつが下という明確な差が以前はあった。
でも……今や違う。その立場は逆転してるとはっきりといえる。だって今やラーゼはこの宇宙……宇宙? ギリギリ宇宙の始祖で、そしてズラララバライト様はその宇宙の第一生命体だ。そうなるとラーゼはズラララバライト様の母みたいな存在になってる。
だからあれだけ強気にも出れるというわけだ。以前はまだ、ラーゼもズラララバライト様の顔色を伺うって感じだった。でも今や、遠慮なんて二人の中にはないようだ。
「うさぎっ子はこいつの魂を内部に取り込んでそれから暴れ始めたの。本当に相手するの大変だったんだから」
やれやれと言う感じを出してるラーゼ。けど大変だったというのは嬉しい。いや、嬉しいというのは間違い。やり直し。してやったりだ。うん、それがいい。




