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「ああ神よ……我らが神よ……」
何やらサバ折りした体の神がそんなことをいってる。
「お前が神じゃないんかい!?」
――と言いたい。いや、こいつも神のはずなんだけどね。けどきっとこいつはある神のグループみたいなのに所属してるんだろう。グループというか、団体というか? そういう勢力を独自に築いてる神は多いらしいからね。
そもそもが大きなくくりで言えば、私もアーミュラの陣営に属してるって思われてるんだろう。私的にはその気持ちはないけどね。まあでも出身宇宙の神の陣営に所属するのはとても当然のことみたい。
なので……だ。それを踏まえて考えるとつまりは今の発言、自身が神なのに「ああ神よ」とかいう神はつまりはきっとあのサバ折り神が所属してる陣営のトップの神に言ってるんだと思う。
我らがも言ってるしね。やっぱりそいつに命令されたのだろうか? それともこいつが手柄を欲しくて勝手にしたのか……
「ここに来たのを後悔しながら逝きなさい」
そんな決め台詞の様な事をウサギっこはいった。ボロボロのサバ折り神の前に優雅に立つ彼女は、腕を伸ばす。そして中指を親指で押さえつけてる。そして……パッコーン! とサバ折り神の額にデコピンをかます。
その瞬間、「おおおぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!」――と凄い勢いで何かに引き寄せられるように飛んでいく。そしてその先にはドラグの姿。けど今は竜の姿をしてない。いつもの……いや、今や昔の……と言った方がいいかもしれない。昔はドラグには定形の形というのはなかった。
靄のようなものだった。だからそれに今なってる。そんな靄になったドラグの元に突っ込んでいくサバ折り神。そして――
グシャ、ブシャ、バキャバキャ
――嫌な音か聞こえてた。そして続く悲鳴。けどそれもすぐにしなくなる。すると、いつもの宇宙が戻ってきた。静かな宇宙。暗い空間。
そして靄が収束していって、ドラグは最近お気に入りの人型になった。その力は飛躍的に上がってる。神の力をとりこんだからだろう。
「ラーゼ」
『はい!』
ウサギっこが私を呼ぶ。なんか背筋が伸びてしまった。神になったウサギっこ……さて、どう動く?




