&246
「はあああああ!!」
うさぎっ子を中心にして、景色が変わる。勿論ここは宇宙だから背景としては黒い。真っ暗である。星々の光はあるが、それでも暗いのが宇宙と言う場所だ。けどうさぎっ子を中心に急速に広がっていく景色は明るい。ちょっとピンクっぽい色が見える。それがズアーと一気に広がって戦ってたドラグとサバ折り神を巻き込んだ。
「む、これは!?」
そんな風にサバ折り神が動揺する。それはそうだろう。だって自身がやりたかった領域への誘導……それを先にやられたんだからね。しかも神になりたてのうさぎっ子にだ。これはサバ折り神のプライドを刺激したかもしれない。
まあ難易度が全く違うことはある。だってサバ折り神は戦闘の合間にやらないと行けなかった。でもうさぎっ子の場合は戦闘はドラグが担当してくれてた。だから初めてといえ、ゆっくりと落ち着いて構築することができた。
そして神としての力を思いっきり開放させた。それによってこの宇宙の中でもかなりの範囲を巻き込んで領域を広げる事ができてる。
(うさぎっ子……うさぎっ子!)
私はそんなふうに声をかける。でも反応がない。なんか大きく手と足を開いて、水に体をあずけるようになってる。これは……あれだね。入ってるね。きっと今、うさぎっ子は神としての全能感に浸ってる。私の狙い通りである。
「領域か……まさか今しがた神になったやつがこれほどの規模の領域を作るとは……かっはっはっ!」
強がりなのかどうなのかわからないが、サバ折り神はそんな風に笑う。めっちゃ不利になってるんだぞ? それがわからない程に愚かな神なのかこいつ? 流石にもう勝てる目なくない? ここから逆転できるプランがこいつにあるのか? 私的にこいつはもう詰んでると思うんだけど……けどサバ折り神には余裕が在るように見える。
そんなことを思ってると、サバ折り神の体が光りだす。そして体の周辺にその光を残した。あれは……自身の周囲にだけ領域を展開してうさぎっ子の領域を中和してるみたいだ。
小細工してきたね。でも、それもいつまでも持つわけ無い。あんな小細工でしのごうとするという事は、やっぱりあいつも追い詰められてるのでは?
でもそんな中、ふと全能感に酔ってたはずのうさぎっ子が動いてた。力を抑えることなく開放することを覚えたうさぎっ子のパンチが炸裂する。拳に乗せた力が、流星のように炸裂してサバ折り神の体を粉砕して吹き飛ばす。
でも一撃で終わらない。飛んでいくサバ折り神に先回りして更に追撃を続けていくんだ。うっわー容赦ない……と私は思った。




